■その笑いがロビンに生きる希望を与えた「サウロ」

 最後は、巨人族の元海軍中将である「ハグワール・D・サウロ」を紹介しよう。

 海軍の掲げる正義に不信感を抱いたサウロは海軍を脱走、考古学者の島・オハラで周囲と馴染めずにいたロビンと意気投合する。まだ幼かった彼女を海軍の総攻撃から命を賭して守り抜き、生きる道を示した大恩人でもあるサウロ。

 笑顔が少ないロビンから辛辣な一言を言われるも、サウロは「デレシシシ!!」と笑い飛ばす。変な笑い方だと無垢な笑顔を見せるロビンに対し、もっと笑ったほうがいいと伝え「デレシ!!」という笑い方を伝授するシーンは、暗く切ないロビンの過去編の中でとても印象的なシーンである。

 海軍の総攻撃に見舞われたオハラにて青キジに氷漬けにされながらも、サウロはロビンに海のどこかで待っている仲間に会いに行くように伝え、「苦しい時は…!! 教えたでよ」「こうやって 笑うんだで デレシシシシ!!!」と、最後までロビンに向けて笑顔を送った。その言葉を受け、燃え盛るオハラを見ながら一人でイカダで脱出し、泣きながらも懸命に「デレシ!!」と笑おうとするロビン。

 そこから彼女は、懸賞金をかけられ“悪魔の子”と呼ばれながらもたくましく生き抜き、かけがえのない仲間たちと出会うことになる……。いかにクセが強くとも、一人の少女に確かな勇気を与えた笑い方であろう。

 

 独特な笑い方で読者に強烈な印象を植えつける、『ONE PIECE』のキャラクターたち。単なるキャラの個性としてだけでなく、ときにサウロのようにクセの強いその笑い方が誰かに生きる希望を与えることもある。

 “笑い”が持つ底知れぬ力を信じて「世界笑いの日」では、普段より笑顔を意識して過ごしてみるのはいかがだろうか。

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