春休みには『ドラえもん』、4月中旬には『名探偵コナン』、秋には『プリキュア』というように、毎年さまざまな子ども向けアニメ映画が公開されている。またシリーズものでなくても、アニメ映画の公開本数はかなりの割合を占めており、親子で映画を見に行ったという楽しい思い出がある人も多いだろう。
しかし子ども向けと侮るなかれ。中にはホラー映画でもないのに、大人もビビるような演出が飛び出すこともある。今回は子ども向けのはずなのに、大人も怖がるような突然主人公たちを襲う恐怖が描かれたアニメ映画を紹介したい。
まずはピクサー・アニメーション・スタジオによる人気シリーズで、日本で1996年に公開された『トイ・ストーリー』の1作目。同作は少年アンディのおもちゃたちが、人間の知らないところで話したり自由に行動するというもの。
話の中で、ウッディとバズ・ライトイヤーはアンディの隣の家に住む少年シドに連れ去られてしまう。このシドという少年がとんでもない悪ガキで、彼の部屋には改造された不気味なおもちゃがズラリと並んでいたのだ。
中でも映画を見に来た人を最も怖がらせたのは、ベビーフェイスというおもちゃではないだろうか。これは金属製のクモのような足の部分に赤ちゃんの顔が合成されたおもちゃで、足の先のハサミを器用に使ったり歩くこともできる。顔の右目は抜き取られており、髪の毛も雑に切られボツボツと残った毛穴がかなり不気味な姿だ。
ベビーフェイスはベッドの下にいたところをウッディにライトで照らされて初登場した。顔だけ見えたときはウッディも驚く様子はなかったが、下半分が金属製と知るなりウッディもビビリ顔。まるでホラー映画のような登場シーンだった。常に笑っているような表情なのも怖さを助長する。
シドの部屋では、ほかにもたくさんの怖いおもちゃが登場。人形の足におもちゃの釣竿がついたレッグスや、びっくり箱からフランケンシュタインのような手が飛び出すハンド・イン・ザ・ボックス、ミニカーのタイヤ部分に4本の人形の腕が生えているウォーキング・カーなど、どれも異様な組み合わせが不気味だ。
ベビーフェイスをはじめとするおもちゃたちはウッディの脱走計画を手伝ってくれた心優しい性格だったが、どんなに優しくても怖いものは怖いものだ。
しかし一番怖いのは子どもの無邪気さだということも実感する。おもちゃを改造したり爆破して楽しんでいたシドの性格はかなり残忍だ。