『ジョジョの奇妙な冒険』第2部「その誇り高き血統」の生きざまを見せた“ツェペリ3世代”を振り返るの画像
『ジョジョの奇妙な冒険』1st Season コンプリート DVD-BOX

 荒木飛呂彦氏の大ロングセラー作品である、『ジョジョの奇妙な冒険』。『ウルトラジャンプ』2023年3月号よりシリーズ9作目となる『The JOJOLands』が連載スタートされており、まだまだジョジョワールドは続いていくのだろう。

 筆者は『ジョジョ』のなかでも、第一部と第二部の波紋編が好きだった。ジョナサン・ジョースターの正義感や情熱には胸を打たれるものがあったが、そんな彼に波紋を指導したのがツェペリだ。そこで今回は、物語の重要なキーパーソンとなっていくツェペリ3世代を振り返ってみよう。

■すべての始まりはサンドイッチ好きなオジさん…ウィル・アントニオ・ツェペリ

 まずは第1部に登場した、初代ツェペリともいうべき「ウィル・アントニオ・ツェペリ」だ。

 40〜50代であろう彼は、初登場時には座ったままの姿勢でジャンプしながら近づいてきたり、「パウッ!」と言いながら重傷を負っているジョナサンの胸を突いたり、おもむろにサンドイッチにコショウをかけたり、カエルを潰そうとしたり……と、どう考えても怪しい人物だった。

 とくにジョナサンの恋人のエリナからすれば、完全に“変なオジさん”だっただろう。しかし侮るなかれ、彼はジョジョの宿敵であるディオら吸血鬼対策には欠かせない“波紋”の達人だったのだ。

 波紋は太陽光と同じ波長の生命エネルギーを生み出すため、太陽の光が弱点である吸血鬼には有効だ。それをジョナサンに教えるべく、ツェペリは現れた。そして、ジョナサンは持ち前の才能と真面目さでツェペリの修行をクリアし、波紋を体得していく。

 ツェペリは非常にユニークで、それでいて熱さも感じさせる魅力的なキャラだった。「『勇気』とは『怖さ』を知ることッ! 『恐怖』を我が物とすることじゃあッ!」という彼のセリフは、まさに主人公の師匠として相応しいものだった。

 最終的にツェペリは、ディオにより現代に蘇った巨漢の騎士・タルカスに胴体を真っ二つに引き裂かれてしまう。自身の持つすべての力をジョナサンに与え、安らかな表情でこの世を去る彼の姿は本当にカッコ良く、本作の名シーンの一つでもある。

『ジョジョ』の物語はジョースター一族の宿敵・ディオが登場したことから始まるのだが、筆者的にはツェペリがジョナサンに出会った時点が本当の始まりだったように思えてならない。

■父の遺志を継いで波紋修行を続け、知らずに息子を助けた「マリオ・ツェペリ」

 次はツェペリの息子で、第2部に登場するシーザーの父「マリオ・ツェペリ」だ。

 回想シーンにしか登場しないのだが、当初はなんと家具職人だったという。まったくイメージが違うのだが、いつの間にか彼は父・ウィルの遺志を継いで波紋の修行をしていく。

 そしてマリオは偶然にも、“柱の男”が眠っている遺跡を発見してしまった。家族に危害が及ぶのを避けるため失踪した彼は、その後世界中を旅し柱の男を倒す策を探すことに。しかし、当時何も知らなかったシーザーは、家族を捨てた父を憎んでいた。

 マリオが失踪してから6年後、偶然にもシーザーはローマで彼を見つける。彼にこれまでの復讐をしようと目論んでいた矢先、シーザーは柱の男の罠にかかり絶体絶命の危機に……。しかしそこへ颯爽と登場したのが、マリオだった。そして、シーザーをかばって柱の男に取り込まれ、絶命してしまうのだ。

 シーザーはそのときはじめて父がとんでもない強敵と戦っていたことや、自分たちを残して失踪した理由を理解する。残念だったのは、マリオはシーザーのことを分からずに命を落としたことだろう。

 ほんのワンシーンしか登場しないマリオだが、ただ、その死に様はシーザーの心を大きく成長させることへとつながっていく。これも「誇り高き血統」なのだろう。さすが父親だぜ!

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