■『となりのトトロ』の「トトロは死神で、メイとサツキは死んでいる」説
宮崎駿監督の映画『となりのトトロ』にまつわる「トトロは死神で、メイとサツキは死んでいる」という都市伝説は、あまりに有名だ。有名すぎてスタジオに問い合わせる人も多く、2007年5月1日、スタジオジブリ公式ブログで“トトロが死神だとか、メイは死んでいるという事実や設定はない“と、正式な否定コメントが掲載された。
噂の発端となったのは、メイとサツキの影がないこと、同じ子どもでもカンタにはトトロが見えていないこと(死神だから死期の近いメイとサツキにしか見えなかった)、最後のシーンで母にトウモロコシを届けに行ったのに会わなかったこと、など……。
さまざまな考え方があるようだが、最後に宮崎駿『出発点1979~1996』(徳間書店、1996)に収録された『トトロ』の企画書の抜粋文を紹介して終わることとしたい。
「中編アニメーション作品『となりのトトロ』の目指すものは、幸せな心温まる映画です。楽しい、清々しい心で家路をたどれる映画。恋人達はいとおしさを募らせ、親達はしみじみと子供時代を想い出し、子供達はトトロに会いたくて、神社の裏の探検や樹のぼりを始める。そんな映画をつくりたいのです。」
以上、アニメ、漫画の都市伝説からとくに有名なものについて調査、紹介した。公式の否定に対しては新たに陰謀説が出現しているから、結局のところ“信じるか信じないかはあなた次第”になるのだろうが……。
もともと噂や虚構は危険な情報やイメージを集団内で共有するための機能であり、人類の進化における重要なファクターだという。そう考えると、不穏な都市伝説が広まりやすく消えにくいのもうなずける。今後もこのような都市伝説は次々と生まれるだろうが、人間の本能の一つとしてライトに楽しみたいところだ。