荒木飛呂彦氏の『ジョジョの奇妙な冒険』には、印象的なキャラが数多く登場する。もちろんいい意味で記憶に残る者ばかりではなく、なかには読んでいるだけで腹が立つほど外道な者も……。人質を取ったり、正々堂々の勝負をあの手この手で避けたりと、その手段は実にさまざまだ。そこで今回は、『ジョジョ』に登場する“うっとうしい外道キャラ"とその末路について紹介していきたい。
■卑劣な手段を使って対象を恐怖させる“エニグマの少年”
まず紹介するのは、第4部に登場する“エニグマの少年”こと宮本輝之輔だ。本編では通称でしか呼ばれなかった彼だが、その本名は画集『JOJO A−GO!GO!』にて明かされている。
輝之輔は、名前にある“輝”という文字のイメージに似合わず非常に陰湿だ。彼のスタンドである“エニグマ”は、相手が恐怖を感じた時に無意識に出してしまうサインを見抜くことで、その人間を紙に封印できる能力がある。そのため、あの手この手を使い尽くして相手を“恐怖”させるのが彼の戦い方だ。
輝之輔は4部の主人公である東方仗助を倒すため、手始めに彼の母である朋子を標的にした。東方家に侵入して彼女の下着を盗み、間接キスを見せつけるなどして恐怖のサインを見つけ出し、封印に成功。戦う術を持たない女性をただただ恐怖に陥れるさまは、まさに外道としか言いようがない。その後、仗助に対しても、人質を使った戦法で封印して大金星を上げている。
そんな卑劣極まりない輝之輔だが、最後には仗助の仲間の活躍によって追いつめられる。そして怒りの仗助に命乞いをするも、彼のスタンド“クレイジー・ダイヤモンド”によってシュレッダーされた紙と融合され、本として永遠に生き続けることとなった。最終的には相当に悲惨な最期を迎えているため、十分すぎる報いを受けているともいえるかもしれない。
■最後のオラオララッシュにスッキリ…“鋼入りのダン”
第3部に登場した、自称“史上最弱”のスタンド“ラバーズ”を操る“鋼入りのダン”も、人質がいないと何もできない卑怯なキャラだ。
ラバーズは非常に小さく、髪の毛1本動かせないほどパワーも弱いが、その代わり射程距離は数百キロメートル。その特性を逆手に取り、人間の耳や鼻の穴から血管を通り、最終的に脳に侵入することができる。すると対象とダンの身体の感覚が共有され、相手はダンが受けたダメージを何倍にもなって感じることになってしまう。
ダンはそのラバーズをジョセフの体内に侵入させ、人質に取った。そしてジョセフの孫の承太郎を服従させ、強盗させたり、橋代わりにして踏みつけたりとやりたい放題してみせる。相手が手を出せない状況を作っていたぶるあたり、“エニグマの少年”以上にタチが悪い。
そもそも、承太郎たちが寝ている間にラバーズを使えばすんなり暗殺できたのではないだろうか……。それをしなかったのは、サディスティックな彼の性格ゆえかもしれない。
最終的に窮地に追いつめられた彼は、プライドも何もない命乞いをしてみせた。だが承太郎の怒りは収まらず、3ページにも渡るオラオララッシュを受けて再起不能に……。
卑怯な手で承太郎を苦しめたダンが報いを受けるこのシーンは、作中でも指折りのスカッとする場面だといえるだろう。