多種多様なモビルスーツが登場する『ガンダムシリーズ』では、デザインだけでなく個性豊かな装備もまたモビルスーツの魅力を高めている。機動性や装甲を厚くするものなどさまざまだが、中には巨大なもの好きなファンの心をくすぐる、火力に特化した超巨大火器も存在し、“当たれば必殺”のいわゆる「ロマン砲」のような装備も見ものだ。今回は『ガンダム』シリーズに登場する、いくつかの超巨大火器の魅力について語っていきたいと思う。
■たった一発の脅威「メガ・バズーカ・ランチャー」
まずは『機動戦士Zガンダム』より、「メガ・バズーカ・ランチャー」を紹介しよう。
「メガ・バズーカ・ランチャー」はモビルスーツに搭載された装備でもなければ戦艦の固定砲台でもない、クワトロ・バジーナ駆るモビルスーツ、百式のオプション装備として登場する。その威力はすさまじく、第49話「生命(いのち)散って」で使用された際は、ハマーン・カーン率いるガザC部隊を一撃で半数以上葬るという火力の高さを見せつけた。
しかし、そういった高火力武器には当然欠点も存在する。莫大なエネルギーを必要とする「メガ・バズーカ・ランチャ―」は、百式単機だと一発しか発射できないという欠点を持つ。それを補うために、物語後半ではエネルギー供給用のゲルググを随伴させ、戦闘宙域で再充填をするという運用方法をとっていた。
なんとも使い勝手が悪く、わざわざモビルスーツに装備させなくても良いのではとも思ってしまうが、たった一発の脅威が戦闘宙域を飛び回っているだけで、敵には十分すぎる憂いとプレッシャーを与えることができるのだ。
その扱いの難しさから、劇中ではその貴重な一発を外してしまうこともしばしばあった。しかしファンとしては、百式が「メガ・バズーカ・ランチャ―」の発射体勢に入ったその堂々たる姿にだけでも、十分なロマンを感じさせてもらったものである。
■『ガンダムシリーズ』で最も長い剣「ライザーソード」
続いては『機動戦士ガンダム00』より、「ライザーソード」を紹介しよう。
刹那・F・セイエイと沙慈・クロスロードが乗るダブルオーライザーが、トランザムとライザーシステムを起動させることで使用が可能となる武器で、独立治安維持部隊・アロウズの衛星兵器である「メメントモリ」を破壊するため、初めて使用された。
ライザーシステムを作動させ攻撃態勢に入った刹那の前に、イノベイドのデヴァイン・ノヴァがモビルアーマーのエンプラスで立ちはだかる。高圧電流を流すエグナーウィップに捕捉され悶える刹那と沙慈だったが、そのままトランザムライザーを発動、エンプラスのGNフィールドごと貫く超高火力粒子ビームを発射した。
ビームはその威力を減衰させることなく低軌道リング上に配置されたメメントモリまで迫るが、ビームはメメントモリの脇を通過し外れてしまう……と思われたその直後、ビームがそのまま軌道をずらし、メメントモリを切り裂くのだ。戦艦からその様子を見ていたアロウズのアーサー・グッドマンもこれには驚愕し「ビームサーベルだとっ!?」と、同じく初めて見た視聴者の気持ちを代弁してくれている。
地上から宇宙という超長距離攻撃が可能な「ライザーソード」。その射程はおよそ10000Kmにも及ぶというのだから驚きである。射程が長すぎて、もはや見た目だけではビーム砲との区別が付かないが、設定上はあくまでも「剣」だ。
超巨大な「剣」であることが、単なる高火力ビーム砲とは違ったロマンを感じさせるのである。