■【番外編】強敵というより“マスコット”? 『帰ってきたウルトラマン』ゼットン二代目

 1971年からTBS系にて放映された『帰ってきたウルトラマン』は、『ウルトラシリーズ』の第4作目にあたる作品だ。

『ウルトラマン』には数多くの怪獣や異星人が登場するのだが、なかでもその凄まじい強さを見せつけたのが、初代『ウルトラマン』の最後の敵として立ちはだかったゼットンだろう。

 ゼットンは黒を基調とした肉体や角、顔や胸部に見られるオレンジの器官が特徴的なデザインをした宇宙怪獣だ。作中、ウルトラマンが初めて敗北を喫した怪獣として圧倒的な存在感を放っており、のちのシリーズにもたびたびゼットンの名を継ぐキャラクターが登場することとなる。

 ちなみに『帰ってきたウルトラマン』に登場するゼットンは“二代目”とされており、初代ウルトラマンが相手をしたものとは別個体だ。視聴者の多くは“かつてウルトラマンを倒したあの強敵が再び……!?”と身構えたものだが、現れた“二代目”はディティールこそゼットンなのだが、角がぶよぶよしている、体型がスマートではない、体色がくすんでいる……など、初代に比べると劣化した感が否めない。

 初代同様に火球を使って攻撃するが、バリアなどの技はいっさい用いることなく、最終的にスペシウム光線を受けてあっけなく撃破されてしまった。

 初代の高すぎる実力と圧倒的カリスマ性のおかげで視聴者から高い期待を寄せられたものの、いまいちその高すぎるハードルを越えることができなかった、どうにも不憫な怪獣である。

 

 少年漫画において強さの“インフレ”は、もはや一種の醍醐味となっているだろう。それゆえに、初期に登場した“強敵”たちが、気がつけば相対的にザコ化していた……という事態も珍しくはない。しかし、その独特の存在感から味方になったり、思わぬ再登場を果たすキャラクターが多いのも、実に面白い展開だろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3