■人間は家畜か下僕に過ぎない!『ジョジョの奇妙な冒険』ディオ・ブランドー

 最後は『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦氏/集英社)に登場するディオ・ブランドーだ。ディオは第1部からジョースター家の因縁の存在として暗躍し、第3部でもラスボスとして再登場している。

 ディオの性格の悪さは幼い頃からで、自らの父親を毒殺してジョースター家に養子として迎え入れられると、ジョナサンの父親であるジョースター卿までをも殺して財産を手に入れようと計画する。これに気付いたジョナサンに阻まれると、「おれは人間をやめるぞ!」と宣言し石仮面によって吸血鬼化。

 ジョナサンとの死闘により、最後は首だけの状態となって敗北したディオだが、ジョナサンの肉体を奪い自らの首とすげ替えることに成功、第3部で復活する。第3部では最強のスタンド能力「ザ・ワールド」を手に入れ、空条承太郎の前に立ちはだかった。

 100年振りの復活を果たしたディオの性格は相変わらずで、人間は家畜としか思わず戦いの最中にたくさんの人間が犠牲になってもお構いなし。ジョセフの死体を弄ぶなど、非道ぶりは健在で承太郎の逆鱗に触れてしまう。

 結局は第3部でもジョースターの血に敗北してしまうディオだが、幼少期から100年を経ても、その歪んだ性格が変わることは全くなく、一貫して「悪」を貫いたのは逆にすがすがしいとすら思える。

 

 漫画やアニメに登場する性格の悪いキャラクターには、ひとつ大きな共通点がある。それが「諦めの悪さ」だ。多くの場合は主人公やその仲間と敵対することになるわけだが、言い換えればそれは常に強大な敵と相対しているということでもある。大きな困難に直面しながらも、どんな手を使ってでも生き延びようとするその姿は、主人公と裏返しのものだとも言えるのではないだろうか。だからこそ、一生改心は無理だろうと誰もが思う「悪」であっても、魅力を感じずにはいられないのだ。

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