2023年4月から放送中のテレビアニメ『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』。吾峠呼世晴氏による原作コミックス第12巻からの内容が描かれており、主人公である竈門炭治郎の日輪刀を作った37歳の刀鍛冶・鋼鐵塚蛍もキーパーソンとして登場している。鋼鐵塚は刀鍛冶としては腕が立つ一方で、両親や里の人たちからもドン引きされてしまう“変わり者”だ。刀を愛するがゆえの行動ではあるものの、実際彼の奇行に炭治郎は何度も驚かされている。今回はそんな鋼鐵塚にまつわる名エピソードをいくつか紹介していこう。
※以下には、コミック『鬼滅の刃』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。
■日輪刀を折ってしまった炭治郎を殺そうとする鋼鐵塚
まずは、コミックス第6巻収録の「日輪刀還る。」でのエピソード。鋼鐵塚は炭治郎が下弦の伍・累との戦いで折ってしまった日輪刀を鍛え直し、それを届けにやってきた……のだが、なんと包丁を手にものすごい勢いで突進してくる。その挙動には確固たる殺意が感じられ、思わず炭治郎も身の危険を感じていた。
攻撃をかわす炭治郎に対し、「よくも折ったな俺の刀を」「よくもよくもォオ」と語気を荒げる鋼鐵塚。怒りのあまり涙を流す姿からも、彼の刀への並々ならぬ愛情を感じることができる。
しかし刀鍛冶の里編で登場する里の長・鉄地河原鉄珍曰く、刀が折れるのは「折れるような鈍(ナマクラ)を作ったあの子が悪いのや」とのこと。それほどまでに厳しい刀鍛冶の世界で、鋼鐵塚は鬼殺隊とは別の立場から、鬼を滅するため尽力しているのだろう。周囲の人間から敬遠されるほどのストイックさも、生き抜くためには必要なのかもしれない……?
■呼吸を極めた炭治郎相手に夜明けまで鬼ごっこ!?
コミックス第8巻収録の「前へ進もう少しずつでも構わないから」では、日輪刀を紛失してしまった炭治郎を制裁する鋼鐵塚がみられる。炭治郎は上弦の参・猗窩座が逃走を図った際、相手を逃がすまいと日輪刀を投げた。そのせいで刀の行方がわからなくなってしまうのだが、これに黙っていられないのが鋼鐵塚である。
「刀を失くすとはどういう料簡(りょうけん)だ貴様ァアアアア!!」「万死に値する…万死に値するゥ!!!」と叫びながら、一度目とは比にならない勢いで炭治郎を責める鋼鐵塚。頭に2本、両手に1本ずつと計4本の包丁を装備したスタイルは、かの有名な“丑の刻参り”を彷彿とさせる恐ろしさだ。鋼鐵塚はこの恨みがこもった格好で炭治郎を追い回し、ふたりの鬼ごっこは夜明け近くまで続いたという。
炭治郎はこの頃には“全集中・常中”を会得しており、常人ばなれした体力を持っていたはず。そんな彼相手に長時間鬼ごっこできるとは、鋼鐵塚のポテンシャルには恐ろしいものがあると思ったのは、筆者だけではないだろう。