ゆでたまごによる『キン肉マン』(集英社)には、超人よりもひと際目立っている地球人のサブキャラたちがいる。そもそも、主人公・キン肉マンも宇宙出身の超人なのだが、地球で生まれて育った人間のなかには、ときに超人を凌駕するほどの活躍を見せるキャラもいる。そこで、『キン肉マン』に登場する“愛すべき地球人のサブキャラ”を紹介していこう。
■まさに迷言…!? 「女房を質に入れてでも」と「尻がわれている」で人気を博した「アデランスの中野さん」
まずは、漫画やアニメでも名物キャラとなっている、中野和雄こと“アデランスの中野さん”だ。当時の担当編集者だった実際の人物をモデルにしているという。
漫画ではもはや名言(迷言!?)となっている「女房を質に入れてでも」というセリフはお馴染みで、とくに初期の怪獣退治や超人オリンピック編ではたびたび見られた。いったい何回質に入っているのか分からないほどだ……。
ちなみに、作中では実際に妻・公子が登場することもあり、夫婦仲は良さそうに見えるのだが、まあ家庭の事情は人それぞれなのだろう。
筆者が好きだったのは、第20回超人オリンピックの予選の重量挙げのシーンだ。重さ1トンという怪獣を持ち上げる超人たちの姿に、またもや中野は「ひえ~~女房を質にいれたかいがあったぜ~~」と大興奮。しかし、そのまま観客席からグラウンドに落ちてしまい、怪獣に狙われてしまう。そこで中野は観客席にいたトリシマに助けを求めるが、彼は中野のズラを棒で持ち上げて「ホーラ ホーラ」と悪ふざけを楽しむのだ。
麻酔銃で怪獣を眠らせた警備員にケガがないかと聞かれた中野は、「うう…し…尻が…」「われてしまった」と、ペロっとお尻を披露。警備員も「最初から われてまーす」と大真面目に激怒するのだが、「しらなかったな〜」と、中野はどこ吹く風で歌い出してしまう。小学生だった当時は爆笑したものだったな。
■「わたしの牛丼かえしなさい」凶悪なカレクックに立ち向かった「ドン・ピカーデリカオーネ」
次は、同じく第20回超人オリンピックの際に爆笑させてもらった、地球防衛軍長官であるドン・ピカーデリカオーネだ(以下ドン)。
当時は名前も知らなかったが、『キン肉マン』には何度も登場しているキャラだった。キン肉マンと残虐超人・カレクックが対決した試合では、ドンはなぜかリングサイドで牛丼を食べていた。
頭に乗せた食べ物からパワーを供給しているカレクックだが、キン肉マンにぶつかられて頭のカレーを落としてしまい、そこで代わりとなりそうなドンの牛丼を強奪する。
するとドンはサッとウルトラマンのコスチュームに着替え、「わたしの牛丼をかえしなさい」と、何度も牛丼を返すようにカレクックに訴えるのだ。だが「しつこいなおまえも〜〜〜!!」と怒りを向けられた途端、「シュワッチ」と言って一目散に走り去っていってしまう。
ここで終わりかと思いきや、すぐにドンは再登場。ドンの牛丼をキン肉マンに取り上げられてしまった失意のカレクックの真後ろに現れ、「おい わたしの牛丼を…どうしてくれるのだ」と、カッコよく諭しにかかるのだ。
しかし「てめえ 死にてえのか〜!?」と、ブチギレたカレクックの形相にビビり、「シュワッチ!」と連呼しつつ、フェンスに足を引っかけながらまたもや退散……。
いや〜このシーンには、当時腹を抱えて笑った。以前、このキン肉マンVSカレクック戦がバラエティー番組の「アメトーク」でも取り上げられていたが、リアルタイムで読んでいた当時はクラスで「シュワッチ!」が流行ったことを覚えている。
ちなみにドンは、その後も画家に扮したり、アメリカの富豪としても登場していた。結局、何者だったのだろうか。