■愛する女性のために戦った『北斗の拳』レイ

 原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏による『北斗の拳』は、80年代を代表するバトル漫画のひとつである。本作に登場する南斗水鳥拳の使い手・レイも、悲しい最期を迎えたキャラだ。

 レイは次々と村を制圧するラオウに戦いを挑んだ際、秘孔“新血愁”を突かれて敗北し、3日後に全身から血を噴き出して死ぬと決定づけられてしまう。

 余命宣告を受けたレイは、愛する女性・マミヤを苦しめる存在であるユダを倒すため、残りの命すべてを捧げることに。マミヤはユダによって誘拐されたうえ、目の前で両親を殺された壮絶な過去を持つ。そのトラウマに苦しむ彼女を見て、レイはユダとの戦いこそ自分にできる最後の人助けだと考えたのだ。

 そのためレイは、トキに“新血愁”に対応する唯一の秘孔“心霊台”を突いてもらうことを選ぶ。“心霊台”は突くと少しばかり延命できるのだが、発狂レベルの激痛にも耐えなければならない。レイは苦しみに耐え抜き白髪になってしまうも、ユダとの最後の戦いにどうにか間に合わせた。

 命を賭けてユダを倒したレイは、マミヤをはじめとして大切な人たちに最期の言葉を伝え、その生涯を終えた。マミヤに「しあわせにな!」と言ったときの、晴れ晴れとした表情にぐっときてしまう。

 

 今回紹介したキャラは皆、死期を悟ったうえで残された時間を誰かのために使っている。その足掻きが残された者たちの希望へと繋がるからこそ、彼らの姿は読者の心の中にもずっと残るのだ。

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