『ワタモテ』黒木智子に『斉木楠雄』読んでるうちに沼にハマってしまう、クセモノだらけの“陰キャ”主人公たちの画像
ガンガンコミックス『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』第1巻(スクウェア・エニックス)

 少年漫画やラブストーリーなどジャンルを問わず、漫画の主人公といえば、明るく積極的な性格の持ち主というイメージをもつ読者が多いのではないだろうか。しかし、最近ではいわゆる“陰キャ”と呼ばれるような主人公の物語が、読者の人気を集めることも多くなっている。そこで、今回は、特にクセモノな“陰キャ”主人公を紹介したい。

■友人にも変質的電話をかけてしまう黒木智子

 2013年にアニメ化もされた谷川ニコ氏の漫画『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』は、高校1年生・黒木智子の日常を描いた作品。一見よくある青春漫画かと思いきや、主人公の黒木はいわゆる陰キャ・喪女・コミュ障であり、趣味は乙女ゲーやエロゲをやったり、BLのドラマCDを聞くことだったりと、かなり個性的な人物だ。

 彼女のユニークすぎる陰キャらしいエピソードを一つ紹介したい。夏服への衣替えの時期に、ブラが透けているクラスメイトを見た黒木は、ブラをわざと透けさせていると勘違い。そのことから、かわいいパンツを履けば友だちや彼氏ができるかもしれないと一念発起してしまう。

 しかし、黒木は下着を母親に買ってきてもらっており、どんな下着をつければよいかわからず。唯一の中学時代からの友人であるゆうちゃん(成瀬優)に、電話で確認することになった。ただ、ゆうちゃんにさえコミュ障を発揮してしまう黒木は、つい息を荒くしてしまい「ゆ ゆっゆうちゃん? その……はあはあ ど どどんな パ パンツはいてる?」と本来の質問が出来ず。あまりにも怪しすぎる電話をかけてゆうちゃんを驚かせてしまうのだった。

 このエピソードはまだ本作の中では、かわいげのあるレベル。それほどまでに正統派陰キャとして、彼女のキャラは非常によく立っているといえるだろう。

■スポーツ漫画主人公として異例だった小野田坂道

 渡辺航氏の漫画『弱虫ペダル』は、ひょんなことから自転車部に入部した高校1年生・小野田坂道が、自転車競技で仲間とともに活躍し、成長していく姿を描いた作品だ。と、これだけ聞くとどこに陰キャ要素があるのかわからないかもしれない。今でこそ、自転車に青春を捧げている小野田ではあるが、物語の序盤においては、かなりユニークな陰キャとして描かれていたスポーツ漫画の主人公としては類を見ないタイプだった。

 小野田はアニメやゲームを愛するオタクなのだが、内気な性格ゆえ中学時代にはオタク友だちができなかった。そして、ここからが彼のユニークすぎる設定なのだが、小学生のころから毎週、千葉から秋葉原までの往復約90kmもの道のりを、電車賃を浮かすためにママチャリで通っていた。そのアキバ通いにより、斜度20%という極度の登り坂であっても、軽々と登っていく脚力を手に。さらに、小野田の好きな「ラブ★ヒメ」というアニメの歌を歌いながら登ることでさらに好調になるという、どこまでもオタクな主人公の登場だった。

 まさか、本人はこうした積み重ねが自転車競技への適性を高めていたことなど知る由もないだろう。アニメやゲームへの愛の強さを思い知ることになった初期エピソードだ。

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