■純朴な優しさゆえにからかわれる西片『からかい上手の高木さん』『からかい上手の(元)高木さん』

 山本崇一朗氏による『からかい上手の高木さん』の主人公・西片は、中学の同級生の高木さんに、毎日のようにからかわれている。

 タイトル通り高木さんは“からかい上手”なので、からかわれている本人はもちろん、読者も胸キュンさせられっぱなしだ。続編にあたる『からかい上手の(元)高木さん』では、結婚した2人と娘・ちーとの3人の生活が描かれている。

 西片と高木さんの恋愛の特徴は、高木さんのキャラクターにあるだろう。“尻に敷かれている”というと気の強い女性を想像する人も多いかもしれないが、彼女は何を考えているかわからないミステリアスな一面と、一枚うわてな頭や勘の良さを持っているのだ。一方、西片は純粋かつ素直なキャラクターであるため、何度からかわれて対策を練ろうとしても、高木さんの思うツボにハマってしまう。 

 西片の場合、高木さんに荷物持ちをさせられたり扱いが雑だったり、といった描写はほとんどないものの、精神的な面で尻に敷かれているように思える。言い換えれば、手の平のうえで転がされている状態なのかもしれない。

 

 今回は、とくに筆者の印象に残っている、尻に敷かれたキャラクターたちを紹介した。取り上げた3組は尻に敷かれていると言いつつ、いずれも夫婦仲が良いので、その関係に憧れてしまう読者も多いのではないだろうか。

 しかし、最近では結婚にこだわらない生き方も増えている。幸せの形は人それぞれということで、筆者も漫画を読んでいろいろな恋愛を楽しもうと思う。

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