素顔を隠す理由は十人十色…ガンダムシリーズに登場する「仮面の男たち」の“こじらせ度”の画像
ガンダムユニコーンエース『逆襲のフル・フロンタル』(KADOKAWA)

『ガンダム』シリーズの最新作、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の第2シーズンが4月9日から放送スタートした。第1シーズンは衝撃的なラストを迎え、そのまま3か月もの間お預けとなっていたため、作中で投げかけられた様々な謎について考察しながら待ちわびていた視聴者も多いだろう。

 そんな『ガンダム』シリーズには、いくつかの定番、いわばお約束のギミックがあるが、そのひとつであり代表的なものが“仮面”をつけたキャラクターが登場することだ。歴代のシリーズでは主人公のライバルポジションを担うことが多いが、仮面キャラは総じてかなりの「曲者」でもある。ライバルというだけでは片づけられない、一癖も二癖もある言動が印象に残る。

 今回はそんな仮面キャラの中でも、特に癖のある印象的なキャラクターを3人紹介しよう。

■冷徹な“鉄仮面”として生きた男、カロッゾ・ロナの哀しい運命

 宇宙世紀屈指の凶悪MA(モビルアーマー)、ラフレシアを操る「鉄仮面」ことカロッゾ・ロナは、クロスボーン・バンガードの軍事部門を率いる『機動戦士ガンダムF91』のラスボスだ。作中では、文字通り中世ヨーロッパの騎士のような仮面を常に装着しており、外見からは全く感情が分からない冷酷なキャラとして描かれている。

 だが、彼が鉄仮面になった経緯を知ると、同情を禁じ得ないものがある。

 かつて有望な科学者だったカロッゾは、ロナ家の娘であるナディアと結婚する。元々真面目な男だったからか、ロナ家の掲げるコスモ貴族主義に強く賛同し、ロナ家の男として認められる一方で、普通の家庭が欲しかったナディアとはすれ違っていった。その結果、ナディアをシオ・フェアチャイルドに寝取られると同時に、娘であるベラ(セシリー・フェアチャイルド)も連れ去られ、果ては懇意にしていた義兄のハウゼリーも暗殺されてしまうのだから目も当てられない。

 そして、心の支えを失った自分を「情けない男」と自嘲し、カロッゾは鉄仮面として生きることを誓うのだ。普通の家の生まれだった男が、貴族になったことで人生を狂わせてしまった……そう考えるとかわいそうな一面もあると言える。

 とはいえ、作中では「バグ」による無差別大量殺戮やラフレシアによる連邦艦隊の迎撃など大暴れしていて、最後はシーブックのF91に翻弄され自滅してしまうのは、自業自得と言わざるを得ない。鉄仮面となったカロッゾを止めることができたのは、自らの死だけだったのかもしれない。

■シャアとの関係性は? 謎多き赤い彗星の再来、フル・フロンタル

 次は『機動戦士ガンダムUC』に登場するフル・フロンタルだ。ネオ・ジオン軍の事実上のトップである彼は、その見た目や声がシャアと瓜二つ。もちろん、体格や雰囲気などは結構違っていて実際には全然別人なのだが、身にまとう雰囲気がそっくりなのだ。

 そんな彼の正体は、ジオン共和国によってシャアを再現するために調整された強化人間。当然、シャアと血縁があったりクローンだったりするわけではない。身も蓋もない言い方をすれば、“シャアの能力を持ったシャアっぽく振舞っている人”でしかないのだ。フル・フロンタルが仮面を被って正体を隠していたのは、ただ単に自分がないから。

 色々とこじらせていたシャアとは違い、確たるバックボーンを持たないフル・フロンタルには人間味があまりなく、それをバナージには「シャアの皮をかぶった操り人形」と痛烈に皮肉られてもいる。境遇を考えるとそこまで言っては少し気の毒な気もするが……。

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