■予期せぬトラブルにも難なく対応するBJ

 基本的に冷静沈着なBJは、予期せぬトラブルにも強い。たとえば、コンピュータが制御する地下シェルターに閉じ込められてしまった「地下壕にて」(2巻)というエピソード。このとき彼は“壁の裏のどこかにあるコードを切れば開くはず”と言う言葉を聞き、壁を打診して回ることにする。そこらじゅうをノックし、わずかな音のちがいで該当箇所を探り当てるという気の遠くなりそうな話だったが、彼は淡々と作業を進めて見事成功させてみせた。

 またサバイバル術にも通じているようで、荒野をさまようことになった「ディンゴ」(3巻)や、谷で身動き取れなくなった「霧」(15巻)では、雨水を飲んだりそのへんの草をブドウ糖で煮て食べたりして生き延びている。

 そのほか、「闇時計」(15巻)で洞窟に生き埋めにされてしまったときにも、人が通るという朝7時ぴったりに助けを求めて叫ぶため、自分の脈や体内時計で時間を計るという冷静さをみせている。しかも時間が来るまでは騒がず慌てず、ゆっくり身体を休めようとする余裕まであった。ピンチでも取り乱さず最適な行動をとれるのは、やはり幼少期の壮絶な経験ゆえだろうか。

 そのほか、BJはドライビングテクニックもなかなかのもので、作中でも何度かカーチェイスを繰り広げている。特にアラスカを舞台とした「通り魔」(8巻)での現地警察との追いかけっこは、銃あり車の大破ありと見ごたえたっぷりだ。

 

 こうして振り返ってみると、作中でしばしばバトル漫画やアクション映画さながらの身体能力を披露しているBJ。書いているうちに、筆者自身、医療漫画の話をしているのかどうかわからなくなってきた。とはいえ、そうやって活躍するBJもまたかっこよくて魅力的なのである。

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