メス投げにサバイバル術も…まるでバトル漫画!? 『ブラック・ジャック』BJが“離れ業”でピンチを切り抜けたエピソードの画像
少年チャンピオン・コミックス『ブラック・ジャック』第6巻 (手塚プロダクション)

 手塚治虫氏の『ブラック・ジャック』の主人公であるブラック・ジャック(以下BJ)は、闇医者であるためか恨みを買うことが多く、裏社会の人間に狙われることもしょっちゅうだ。そのうえけっこうな巻き込まれ体質でもあり、災害に見舞われたり事故で閉じ込められたりと、いつ命を落としてもおかしくないトラブルに巻き込まれがちである。

 しかしBJはそのたび、護身術やメス投げといった能力や豊富な知識を駆使し、ピンチを切り抜けてきた。今回はそんなエピソードの数々について振り返ってみよう。
 ※なお記事内に出てくる巻数は、すべて秋田文庫版のものを指す。

 

 BJの(手術以外の)能力として真っ先に挙げたいのは、やはり“メス投げ”だろう。彼は往診カバンのなかはもちろん、年中着ている真っ黒なコートのなかにも大量のメスを仕込んでおり、必要なときすぐに取り出せるようになっている。最低限の手術をいつでも始められるのはもちろん、突然暴漢に襲われたときの投擲武器としても活用できるのだ。

 ちなみに、16巻収録の「もうひとりのJ」でのBJの発言によれば、メスが敷き詰められたコートはちょっとした防弾着としての効果もあるらしい。

「誘拐」(2巻)や「骨肉」(10巻)などで披露しているが、BJのメス投げの命中精度は異様で、拳銃で武装した相手くらいならサクッとやっつけられる。「老人と木」(6巻)で首吊り自殺を止めるためロープを切ったり、「ご意見無用」(9巻)であちこちから襲い来るサメを撃退したりと、的が小さくても正確に命中させることが可能。さらに「満月病」(14巻)にて、猟銃の銃口にメスを投げ入れるといった離れ業をやってのけたこともある。

 さらに「短指症」(6巻)では、敵に電線をつなげたメスを投げつけ、電流を流すというアレンジ技を披露。電流を流す際“エレクトロニックダンス”と呟いていたのは、技名のようなものだろうか……。

 ちなみにBJのこの特技は、昔から復讐のための技として磨き続けてきた“ダーツ投げ”を応用したものだろう。「笑い上戸」(12巻)では学生時代のBJがダーツ投げをしているところが描かれるが、このときから相当な腕前だったことがうかがえる。サボりを咎めに来た教師を脅すため(!?)、見事なコントロールで彼の身体すれすれの場所を攻めまくる場面もあった。

 またメス投げを抜きにしても、BJは護身術の心得があり喧嘩もかなり強い。「海のストレンジャー」(10巻)では身体が倍くらいありそうな大男と互角にやり合っていたし、「盗難」(同巻)でもほぼ素手でゴロツキ4人を制圧していた。純粋な身体能力の高さといい、突然襲われても冷静さを欠くことなく立ち回れるところといい、バトル漫画の世界に放り出されてもそれなりに生きていけるのでは……?

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