誰もが魔法を自在に使える世界の中で、魔法が使えない少年・マッシュが魔法学校に入学し、鍛え上げた己の肉体を武器に魔法エリートたちを打ち負かしていくファンタジー作品『マッシュル-MASHLE-』。魔法と肉弾戦が融合したド派手なアクションに加え、天然なマッシュが巻き起こすシュールなギャグも魅力で、シリアスとコメディが融合した作風が人気の秘訣だ。放送中の同作から主人公・マッシュを演じる小林千晃さんのインタビューをお届け。
■子供のころに好きだったテイスト
ーー原作漫画をお読みになった印象はいかがですか。
もともと原作のイチ読者なのですが、僕が子供のころに好きで読んでいた漫画のテイストと似ていて、どこか懐かしさを覚えました。作者の甲本一先生も好きだとおっしゃっていますが、僕も『ボボボーボ・ボーボボ』が好きだったんですよ。シリアスなバトルのなかでもつねにどこか緩みがある感じがたまらなくて、この『マッシュル-MASHLE-』もまさにそうなんです。今ってわりとシリアスなダークファンタジー作品が隆盛じゃないですか。なので、こういうバランスの作品は近年あまり見なかったので、すごく楽しませてもらっています。
ーー王道の魔法ファンタジー的な世界観ながら、筋肉だけで成り上がっていくというのが斬新ですよね。
そうですね。魔法がすべての世界観のなかで、魔法の使えない主人公が努力で成り上がる展開は少年漫画では定番なのかもしれませんが、それを筋肉だけでやるっていうのは、おっしゃる通りたしかに斬新だと思います。緊張感のあるバトルではありつつ、マッシュの行動のすべてがギャグとして映るので、そこがこの作品ならではの魅力に繋がっているなと感じます。
■あえてズラすことで生まれる面白さを発見
ーー主人公・マッシュについてはどのような印象を持たれましたか。
飄々としているけど、内面的には友達や家族をとても大切にしている優しい子だなと。僕もあまりはっちゃけるタイプの人間ではないので、ぱっと見の雰囲気的にはわりと似ていると思いますし、実際あまり作らずに演じています。
ーーマッシュを演じるうえで気をつけていることはありますか。
マッシュはつねにマイペースで、ギャグシーンになって周りの会話のテンポ感が変化しても、マッシュだけはテンポが変わらなかったりするんです。最初のうちは、役者として相手の芝居を無視したようなムズムズした感覚もあったんですけど、やっていくうちにあえてズラすことで生まれる面白さもあるんだなと気づかされました。そこは新しい発見だったと思います。
ーーバトルシーンでもマッシュはマイペースで、リアクションは薄めですよね。
そうですね。ただ僕が最初に想定していたよりも、結果としてはしっかりめに芝居していると思います。たとえば、バトル中の息遣いだったりやられた際のうめき声など、最初はほとんど乗せていなかったんですけど、音響監督から「もう少し必死さはあっていいよね」とディレクションがあったんです。なので、バトルシーンは王道的なものになっていると思います。
ーーマッシュはピンチでも平然としているイメージがありますけど…。
マッシュは筋トレしてますから(笑)。筋トレしている人、つまりトレーニーはみんなそうですけど、自分の筋肉に対する絶対的な信頼があって、そこへのプライドもあると思います。なので自信からくる不遜な態度というのは大切にしつつ、ピンチではわりと本気でやられてと、そこのバランスはかなり気を遣っていますね。