『名探偵コナン』青山剛昌が野球漫画を『ドカベン』水島新司が将棋漫画を…!? 有名漫画家が描いた“意外なジャンルの作品”たちの画像
少年サンデーブックス『青山剛昌短編集 4番サード』(小学館)
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名探偵コナン』の青山剛昌氏といえば推理漫画、『漂流教室』の楳図かずお氏といえばホラー漫画……など、それぞれのジャンルの巨匠とされている有名漫画家たち。やはりヒット作を世に出すと、どうしてもそのジャンルのイメージが定着してしまうものである。しかしそんな彼らが生み出した作品のなかには、実は現在の印象からはかけ離れたジャンルの作品もある。

 そこで今回は、青山氏を筆頭に“有名漫画家が描いた意外なジャンルの作品たち”をご紹介しよう。

■『名探偵コナン』の青山剛昌氏による野球漫画『4番サード』

 毒薬を飲まされ、小学生の身体になってしまった高校生探偵・工藤新一を主人公にした人気推理漫画『名探偵コナン』。1994年から『週刊少年サンデー』(小学館)で連載開始された本作は、来年連載30周年をむかえる長寿作品だ。

 作者の青山剛昌氏は、推理漫画というジャンルにおいて世界的にもよく知られる有名漫画家である。そんな青山氏だが、実は1991年から1993年にかけて、『4番サード』という野球漫画を連載していた。

『4番サード』の主人公はいたって普通の野球少年。しかし彼は、“ミスタージャイアンツ”の愛称で知られる長嶋茂雄と同姓同名であり、それだけが理由で“サード”と“4番打者”に指名されてしまう。

 名前のせいで過度な期待をかけられるわりに、思ったように成績を残せず伸び悩んでいた長島。本作はそんな彼が、“野球の神様”ことベーブ・ルースの力を秘めていると言われる“神様のバット”を手に入れ、チームを甲子園へと導いていく物語である。

 全6話の短い作品ではあるものの、『4番サード』は人気が高く、“好きな野球漫画”として挙げられることもある。野球漫画だがファンタジー要素が強く、“ある意味”少年誌らしいところも、多くのファンに愛されている理由のようだ。

■『ドカベン』の水島新司氏による将棋漫画『父ちゃんの王将』

 野球漫画といえば、水島新司氏の『ドカベン』を思い浮かべる人も多いはずだ。『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で1972年から1981年にかけて連載された本作は、言わずと知れた名作であり、過去にアニメ化や実写映画化も果たしている。

 2022年1月に水島氏が亡くなったときには、ソフトバンクの元監督でスポーツ評論家の秋山幸二氏が「プロ野球選手でも影響を受けた人は多いはず」との言葉を寄せていたが、それほどまでに大きな影響力を持つ野球漫画なのだ。

 そんな水島氏だが、2001年に創刊された青年誌『イブニング』(講談社)で『父ちゃんの王将』という将棋漫画の連載をしていた。もともと将棋を愛好していた水島氏は、編集部から“野球漫画以外のもので”と頼まれた際に“将棋しかない”と思い、この連載が実現したのだという。野球とはまるでかけ離れたテーマのため、その意外性が印象に残っている方も多いのではないだろうか。

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