■ジムなのにザクな「ゲム・カモフ」

 続いては漫画『機動戦士ガンダム MS IGLOO 603』に登場する「ゲム・カモフ」。ガンダムっぽいジム、ガンキャノンっぽいジムと紹介し、ここで紹介する「ゲム・カモフ」は見た目こそ王道のジムっぽい風貌の機体だが、これは「ザク」なのである。

「ゲム・カモフ」はジムのドイツ語読みである「ゲム」と、カモフラージュの頭の「カモフ」からネーミングされている。その名の通り、相手にザクをジムと誤認させるための機体である。

 ゲーム『機動戦士ガンダム 戦場の絆』や『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』で有名な機体だが、出典元は『機動戦士ガンダム MS IGLOO』の漫画版である『機動戦士ガンダム MS IGLOO 603』。同作では「ゲム・カモフ」のパイロット自身がこの機体について「戦場の狂気そのもの」と表現している。

 シルエットをジムに似せるために装甲を極限にまで削っているため、パイロットの生存性がかなり犠牲になっている。そのうえ、機体コンセプトと見た目のせいで、敵である連邦軍だけでなく、味方であるジオン軍からも誤射される可能性があるからである。「ゲム・カモフ」が過酷な機体だと分かるエピソードだ。

■ジムなのにバーザム「バージム」

 最後に紹介するのは、未来感が漂うジムといった見た目の機体「バージム」。漫画『機動戦士ガンダムF90FF』や『ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム』 にも登場するこの機体は、カラーリングこそ赤と白のジムの色をしているが、よくよく形状を観察すると『機動戦士Zガンダム』にも登場したティターンズの量産機・バーザムの要素が強い。

「バージム」には、いくつかのバリエーションが存在する。中でも「A型」はバーザムの頭部のみを少しだけ改造し、カラーリングをジムにしただけの、「ほとんどバーザム」な機体である。

 マイナーな機体ではあるが、ガンダムの歴史上かなり長く運用されている。「バージム」は『機動戦士Zガンダム』の時代のグリプス戦役末期に起こった「ペズンの反乱」で姿を見せる。そして『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』と『機動戦士ガンダムF91』の間の時代である『機動戦士ガンダムF90』で、「第一次オールズモビル戦役」で使われていることが確認できる。

 バリエーションも前述の「A型」から、ジムIIIとのパーツ共用化となった「B型」へ。そして、ジェガンJ型とのパーツ共用化となった「C2型」と進化することとなる。

 形だけのジムだった「バージム」が「ジム」となり、最終的に「ジェガン」となるという数奇な運命を辿る機体である。

 以上、ジムじゃないようで実はジムな機体。そして、ジムのようで実はジムじゃない機体を紹介した。ジムなのか微妙な機体は他にも様々な機体が存在するが、どれも個性的で、泥臭さと愛らしさが同居する、不思議な魅力を感じてしまう機体が多い印象だ。

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