■子どもを思って過干渉してしまう親の姿も

 2020年に「マンガ大賞2020」と「第44回講談社漫画賞一般部門」を受賞しアニメ化もされた山口つばさ氏による『ブルーピリオド』にも、身の回りにいそうだが、ひょっとすると「毒親」と思われかねない親が登場する。

 同作は絵の面白さに目覚めた主人公が美術を学ぶ物語。コミックス11巻では美術教室に通う小学生の小枝という少女が登場するが、彼女の父親が、善良でありながら無自覚に娘を傷つけるタイプなのだ。

 たとえば展覧会に出す作品を見て、娘の絵を褒めることもせず「あの子の絵とか上手じゃん! ああいう絵にしてみたら?」と無神経なことを平気で言ってのけたりする。親からすれば娘に期待しての発言・行動なのだろう。実際に小枝は小学生ながら8つも習い事を掛け持ちしていたし、父親は毎回送り迎えをしていた。

 しかし親の「良かれと思って」は子どもにとって毒にしかならないということは少なくない。

 最後は、パパ活やホスト狂い、整形依存症など現代の女子の姿をリアルに描くことで話題の、をのひなお氏による『明日、私は誰かのカノジョ』。現在「サイコミ」にて連載中の物語の最終章では、幼少期に母親から虐待を受け、心身に深い傷を負っている雪と、親からの過干渉によって生活に自由がないことに悩む太陽の交流を描いている。

 お互いに親に関するトラウマがあることをきっかけに少しずつ仲良くなっていく2人をほほ笑ましく思う一方で、たびたび登場する両者の親の存在はまさに毒。雪に虐待をし都合の良いときだけ頼ってくる雪の母親も、勝手に家に入り込んで私生活の全てを管理しようとしてくる太陽の母親も、それぞれタイプは違うが自身の都合を押しつけているように読める。2人とも親に対して強くものを言えない葛藤が描かれており、なんともリアルで胸が苦しくなってしまうエピソードだ。

 はたから見ている分には「ひどい親がいるものだ」で片づけてしまいそうだが、実はあなたも無自覚に毒親になっていないだろうか。子どもといえど適切な距離感と尊厳を大切にして接したいものだ。

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