4月に入り新学期ともなれば、多くの新入生がどの部活に入るかを楽しみにしているものだ。筆者が小学生だった昭和の時代、ネットもないのでとにかく漫画で知識を得ていたものだった。当時は今では考えられないようなスポ根丸出しの練習方法や考え方がふんだんに取り入れられており、代表的な『巨人の星』の大リーグボール養成ギプスなんかは、皮膚が挟まって激痛ものである。そこで、令和の現代では引かれること間違いなしのスポ根全開のスポーツ漫画の練習方法を紹介していこう。
■飛雄馬やこずえも頑張った! かつては練習の定番だった「ウサギ跳び」
過酷な練習といえば「ウサギ跳び」が定番だったものだ。これはしゃがんだ状態で手を腰の後ろに回して組み、ウサギのようにジャンプしながら前身するというもの。常につま先立ちになり、太ももが破裂しそうなほどパンパンにつってくるし、ふくらはぎが痺れてくるほどきつかった。
そんな昭和ならではの「ウサギ跳び」だが、『巨人の星』(講談社)や『アタックNo.1』(集英社)では、とくに有名なトレーニングシーンだった。いや、普通にキツイのだが、主人公の星飛雄馬や鮎原こずえも懸命にウサギ跳びで足腰を鍛えていたな。
しかし、そもそもウサギ跳びというのは足腰の鍛錬にはならないというのが、現在の見解である。疲労骨折などを引き起こす懸念性から、昭和後期から平成にかけては「禁止」とされる学校がほとんどだった。とはいえ、筆者も小学生時代には神社の階段をウサギ跳びで何度も登らされたものだったぞ。
そもそもあんなにもツライ姿勢で跳ねるなんてこと、当のウサギがするはずもない。まったくもって間違った知識なのだが、当時は本当に強くなると信じていたものだ。ちなみに、筆者の子どもたちはウサギ跳びなんて知らない。
そういえば『巨人の星』のプロ野球編で、二軍のバスでは足腰の鍛錬として先輩たちがつま先立ちで乗車していたな。飛雄馬もびっくりしていたが、あれもトレーニングらしかった。いやいや、急ブレーキをかけたら大ケガにつながるじゃないか! きっと運転手もかなり神経をすり減らしてハンドルを握っていたことだろう……。
■テニスに関係ないでしょ…もはや体罰のグラウンド100周
さて、次はテニス漫画の名作『エースをねらえ!』(集英社)で、鬼コーチでもある宗方が課したグラウンド100周だ。なんのために100周も走るんだろうと思ったものだが、そういえば『テニスの王子様』(集英社)でも、イケメン部長の手塚によって規律を乱した部員が校庭を走らされていたな。はたして、テニスと関係あるのだろうか?
実は、筆者も中学の野球部時代に経験したことがある。今考えると体罰のように感じられるが、当時は野球少年だったので“そういうもの”だと思っていた。
さらに言うと、筆者のチームの監督は戦前の生まれで、規律は軍隊なみに厳しかった。常に声出しをしながら走らなければならないのだが、一人でも声が小さいとさらに周回を追加される始末。当時は監督を恨んだものだった……。グラウンドの大きさにもよるのだが、漫画でも100周も走るのは周回を数えるのも大変だったことだろう。
もしも意識朦朧とした岡ひろみが73周目くらいで間違えようものなら、部内でさらに孤立してしまう。お蝶婦人だって貧血で倒れそうだぞ。あれ? そういえばお蝶婦人って走ってたっけ?