歴代「スーパー戦隊シリーズ」ダンス、新体操、携帯電話に格ゲーも…名作に盛り込まれた“時代の空気感”の画像
『電磁戦隊メガレンジャー DVD-COLLECTION』【販売元】東映株式会社【発売元】東映ビデオ株式会社

 3月5日から放送が始まった『王様戦隊キングオージャー』で47作目となった「スーパー戦隊シリーズ」。同シリーズは1971年から始まった「仮面ライダーシリーズ」や1966年に生まれた「ウルトラシリーズ」と並び立つ、昭和生まれの「変身ヒーロー」の一角だ。

 最新作『王様戦隊キングオージャー』は5人の王様が団結して、人類滅亡をもくろむ地帝国バグナラクに立ち向かうという物語で、「王」であると同時に、ノコギリクワガタやオニヤンマといった「昆虫」が各キャラのモチーフとなっている。前作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』が「昔話」をモチーフとしていたように、これまで戦隊シリーズでは「忍者」に「侍」に「列車」に「警察」に「魔法」などなど、子どもたちが興味を示しそうなモチーフが各作品に取り入れられてきた。

 物語やバトルにも各時代ならではのエピソードが盛り込まれており、改めて振り返ると、その当時の空気感が蘇ってくるものも多い。

■格ゲーブームに、最先端だったデジタルデバイス

 たとえば、1997年に「スーパー戦隊シリーズ」第21作目として放送された『電磁戦隊メガレンジャー』。同作は、5人の高校生戦士が邪電王国ネジレジアから地球の平和を守る物語だが、主人公の伊達健太がメガレッドに選ばれた理由は、ゲームセンターでプレイしていた対戦型格闘ゲームが強かったから、というもの。

 このとき伊達が遊んでいたゲーム機はホログラム映像に見せかけた、メガレンジャー適正者選抜のマシンだった。この頃は『バーチャファイター3』や『ストリートファイターIII』など人気作の続編が稼働を始めた時代で、ゲームセンターでも格ゲーが大ブームとなっていた。97年の新戦隊『メガレンジャー』の導入部分では、子どもたちにも人気だったゲーセンの雰囲気が反映されていたのだろう。

 さらに97年はデジタル創成期でもあり、作中では当時最先端だった携帯電話、パソコン、インターネットなど「デジタル要素」が多く盛り込まれていた。変身シーンも「インストール、メガレンジャー!」の掛け声とともに腕にはめたブレスレットにコードを入力することで、モチーフとなった「デジタルデバイス」が頭部に表示されるといった演出だ。

 ところがこのデバイス(機器)、キャラによって性能や規模にかなり大きな開きがあったように思う。  

 メガレッドのヘルメットには「スーパーコンピューター」の機能がインプットされており、メガブラックが使う「通信衛星」と並んで世界を守るための国家レベル事業といえるだろう。ところが、メガブルーは「デジタルテレビ」、メガイエローは「デジタルカメラ」、メガピンクは「携帯電話」とどれもが家電レベルのものだった。

 それぞれ、立体映像を映し出したり敵の弱点を発見したりとすぐれた機能を持つものの、この頃は子どもたちはおろか大人ですらデジタルに対しての知識が乏しかった時代。現代の視聴者であれば、スーパーコンピューターとの差はかなり大きいのでは? ……というツッコミが入るかもしれない。

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