1963年に誕生した漫画雑誌『週刊少年キング』が2023年7月に創刊60周年を迎える。出版元であった「少年画報社」によると、誌名は同社の雑誌『少年画報』の読者投票で決定。すでに1959年から刊行されていた講談社の『週刊少年マガジン』や小学館の『週刊少年サンデー』を追うように、『週刊少年キング』は日本で3番目の週刊少年雑誌として産声をあげたのだ。
後に集英社から『週刊少年ジャンプ』と秋田書店から『週刊少年チャンピオン』が創刊されたことで「五大週刊少年雑誌」と呼ばれるも、本誌は3誌時代から引き続き最下位に甘んじることとなる。とはいえ月曜日にジャンプ、水曜日にサンデーとマガジン、木曜日にチャンピオン、そして金曜日にキングが発売されたことにより、本屋などの店頭には5種類の週刊少年雑誌が競うかのように積まれていた。
数々のヒット作を生み出すも部数は奮わずにいた『週刊少年キング』だが、著名な作家のデビュー作や意外な名作の初掲載など漫画雑誌に与えた功績は大きい。そこで今回はまもなく60周年を迎える『週刊少年キング』について、掲載作品を振り返ってみたいと思う。
■『柔道一直線』『怪物くん』『アパッチ野球軍』などの人気漫画がテレビに登場
1970年前後の『週刊少年キング』にはメディア(映像)化にともなって話題となった作品が多い。悪を裁く特殊警官を描いた望月三起也氏の『ワイルド7』をはじめ、原作:梶原一騎氏・作画:永島慎二氏/斎藤ゆずる氏の『柔道一直線』などが実写ドラマ化。『柔道一直線』では桜木健一演じる主人公・一条直也の必殺技「地獄車」、近藤正臣が演じた「裸足でのピアノ弾き」などが今も語り草となっている。
1968年にモノクロアニメ化された藤子不二雄A氏による『怪物くん』は、『週刊少年キング』『少年画報』に同時掲載され、本誌には『まんが道』なども連載。『赤き血のイレブン』や『忍者あわて丸』(アニメタイトルは『ピュンピュン丸』)がアニメ化される中、筆者がもっとも印象に残るのが原作:花登筺氏・作画:梅本さちお氏による『アパッチ野球軍』だ。アニメの力強い主題歌・EDに加え、モンキーや網走など強烈な個性を持つキャラたちの人間関係や友情がおもしろい。時代も関係するだろうが、『ワイルド7』をはじめ荒唐無稽な作品が人気だった。
その他、石ノ森章太郎氏の名作『サイボーグ009』が実は『週刊少年キング』で連載を開始した漫画だったことや、『サンクチュアリ』『HEAT-灼熱-』で知られる池上遼一氏の連載デビューが『週刊少年キング』だったことなど、意外なルーツが多い同誌。