■第1位:天草財宝伝説殺人事件【正解者3名のため、正解率記載なし】

 連載初期のFILEシリーズからリニューアルされたCaseシリーズの3作目「天草財宝伝説殺人事件」は、天草上島で発見された黄金の十字架に、財宝の隠し場所が示されていたことで、一と美雪が『週刊ケンタイ』の「伝説の天草財宝発掘同行ルポ」に参加したところから始まる事件だ。

 天草財宝伝説殺人事件の犯人は、首吊り学園殺人事件の犯人と同様に証拠を一つも残さないまま犯行を完遂している。そのため、一も真相を解き明かすのに相当苦戦しており、従妹のフミが天草からの転校生の話を聞けたことや、一が立ち寄った喫茶店で見たことなど、解決につながる糸口となった事柄に偶然性があったのもこの事件の特徴だ。最終的には仕掛けた罠に犯人が引っ掛かり、自白に追い込めなければ、すべての謎を暴くことは難しかった可能性さえある。

 この犯人のトリックで印象に残っているのは、錯覚を利用し、地図の一部に焦げ目を付けることで、行き止まりの道がつながっているかのように見せたトリックだ。筆者はその錯覚のトリックにまったく気付けなかったが、解決編で理解できたときには、まさにアハ体験のようで非常に面白かったのを記憶している。

 前述の通り「真相当てクイズ」の正解率は平均10%以上、正解者の数は数百人から多いときには数千人に及ぶが、この事件ではなんとわずか3人しか正解者が出なかった。極端に正解者が少なかった理由の一つには、被害者に共通点があったことがミスリードを誘発し、真犯人を容疑者から外してしまった人が多かったためではないかと言われている。名実ともに『金田一少年の事件簿』随一の難事件だったと言えるだろう。

 

 今回は『金田一少年の事件簿』の「真相当てクイズ」において、特に読者の正解率が低かった3つの事件を紹介した。どの事件も、連載当時には筆者も正解することができなかったもので、あらためて振り返ってみても納得のトップ3だ。もし、これらの事件を読んだことがない読者がいるのであれば、正解できるかどうか、ぜひ挑戦してみてもらいたいものだ。

  1. 1
  2. 2