ミステリー漫画の金字塔『金田一少年の事件簿』では、連載されていた『週刊少年マガジン』(講談社)において、「真相当てクイズ」という懸賞企画を行っていた。読者が犯人や主要なトリックの推理を解決編の前に編集部に送り、その正解者の中から抽選で賞品がもらえるというもの。『金田一少年の事件簿』のトリックは大がかりだったり、難しかったりと筆者は当てられた記憶がほとんどないのだが、平均すると10%を超える解答者が正解していたという。意外と高い正解率で、それを知ったときは驚いたものだ。
そこで今回は、「真相当てクイズ」の中でも特に読者の正解率が低かった、つまり逆に言えば難易度が高かった事件のトップ3を紹介したい。
■第3位:首吊り学園殺人事件【正解率6%】
ファイル8「首吊り学園殺人事件」は、一と美雪が成績の向上のため、四ノ倉学園という名門予備校の講習に通うことになったところから始まる事件だ。優秀な進学率を誇ってはいるものの、徹底した授業カリキュラムに付いていけない生徒が多く首吊り自殺をしていることから「首吊り学園」と呼ばれていた。
首吊り学園殺人事件の犯人は、ほぼ完璧と言える殺人計画を立て、それを遂行した。被害者たちの行動により証拠が発生したものの犯人自身は物的証拠を残さなかった上、途中まで一のことまで完全に欺いていたことから歴代犯人の中でも最強クラスと評されている。
その犯行の手口を一部紹介すると、被害者の遺体を腐敗させて死亡推定時刻の割り出しを妨害し、さらにわざと警察に逮捕されることで自身のアリバイを確保するなど、非常に緻密で洗練されている。犯人のトリックに騙された読者も多く、正解率は6%にとどまった。
■第2位:異人館村殺人事件【正解率4%】
ファイル2「異人館村殺人事件」は、一のクラスメイト・時田若葉の結婚式に出席するため、一と美雪、不動高校の担任教師であり若葉と関係を持っていた小田切の3人が、若葉の生まれ故郷である青森県の六角村を訪れるところから始まる事件だ。ダビデの星の形をしており、6つの館に住むそれぞれの住人はみな体の一部が欠損したミイラを保管しているなど、村全体に異様な雰囲気が漂っている。
異人館村殺人事件の犯人は、六角村の村人たちに復讐するため、非常に大がかりな犯行計画を立てており、『金田一少年の事件簿』の事件の中でも被害者の数が最も多く、その殺害方法も残虐性が高い。死体の一部を切り取るトリックもグロテスクでありつつ殺害の順序をミスリードするなど、多くの読者の目を欺いたことから、正解率は4%と非常に低い結果になった。