1990年から1996年にかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された井上雄彦による人気バスケ漫画『SLAM DUNK(スラムダンク)』。連載中の1993~1996年にはテレビアニメも放送され一世を風靡し、昨年2022年12月3日には井上雄彦氏自身が脚本・監督を務めた劇場版『THE FIRST SLAM DUNK』が公開、興行収入120億円を超える大ヒットを記録した。
『SLAM DUNK』では、主人公・桜木花道とそのチームメイトにしてライバルである流川楓の活躍をはじめ、数々のドラマティックな展開が巻き起こるが、試合中のコート上だけではなく、ベンチにいるメンバーにもスポットを当てるシーンが描かれるのもアツいポイントだ。
そこで今回は、試合には出ていない控えメンバーもやはりチームメンバーなのだと確認できるような強い想いが描かれるシーンとセリフを3つピックアップして紹介しよう。
■大ピンチの陵南! それでも絶望しないベンチメンバーの視線の先には仙道がいた!
最初に紹介するのは、インターハイ予選の神奈川県大会・決勝リーグでぶつかった陵南高校VS海南大附属高校の試合。序盤は陵南が優勢だったが、海南の追い上げはすさまじく、陵南のキャプテンでありセンターの魚住は5ファウルで退場となってしまう。
明らかに絶望的な状況にもかかわらず、ベンチメンバーは期待に満ちた眼差しをコート上に残る仙道に向ける。
「それでも仙道なら…仙道ならきっと何とかしてくれる…!!」
この試合を観戦していた湘北のキャプテン・赤木は、陵南のベンチメンバーたちの様子にエースへの揺るぎない信頼と、上記の心の声を感じ取り、「そういう目をしている………!!」と驚嘆する。
その見立て通りまったく絶望していなかった陵南は、仙道の活躍をはじめとする堂々たる試合運びで、最後まで海南を追い詰めることになったのだ。
なお、チームメンバーが仙道に視線を送るシーンには、先輩である魚住や池上も含まれていて、チーム全体が信頼の絆で結ばれていることが表れていたのが印象的だった。
■王者に圧倒され心が折れる……その寸前でベンチを鼓舞する副主将・木暮
続いて紹介するのは、インターハイ2回戦の湘北高校VS山王工業高校だ。1回戦で大阪の強豪・豊玉高校を破った湘北にとって、王者と呼ばれる山王が相手となるこの試合はさらなる苦戦が予想された。前半は善戦したものの、後半は山王のフルコートプレスディフェンスに攻めあぐね、一気に20点差を付けられる。
それでも桜木のリバウンドや気負いを見せていた赤木の復活、三井の連続3Pで徐々に点差を詰めた。しかし、エース対決である流川VS沢北の1on1では、流川がコテンパンにやられてしまう。流川の強さを信じていた湘北メンバーは絶望し、会場もまた湘北が敗色濃厚であるという雰囲気に包まれる。
しかし、副キャプテンの木暮はコートを見据え「コートの5人はすごい相手と戦ってるんだ ベンチも……最後まで戦おう」とベンチメンバーを叱咤。そして心の中で「代わりになれないならせめてーー勇気づけよう」と続ける。
木暮は副キャプテンでありながらベンチ要員。試合に出られずプレイではチームの役に立てない状況に、思うところがないはずはない。それでもチームを思い、仲間を思い、自分たちにいまできることを精一杯やろうと、仲間だけでなく自分にも言い聞かせるような気持ちのこもったこのセリフは、心に沁みる陰の名シーンだ。