■拷問を受けて機能停止!ゴミとして廃棄される

 続いては、1993年公開の劇場版『ドラえもん のび太とブリキの迷宮(ラビリンス)』から。ストーリー中盤にドラえもんは敵であるナポギストラー軍に捕まってしまい、情報を引き出すために拷問にかけられる(なお、この時点でドラえもんは本当に何も知らない)。このときの繰り返し電流を浴びて叫ぶドラえもんは悲痛でならない。

 前述のテレビアニメでのドラえもんの故障はギャグテイストだが、高圧電流を受け続けてコンピュータが焼け、白目のまま機能を停止してしまうドラえもんはかなり痛々しい姿。おまけにスクラップとして海の底に捨てられるという衝撃的なシーンだった。

 最終的には、のび太の機転からひみつ道具を駆使し、ドラえもんを探し出して修理している。奇しくものび太のひみつ道具に対する知見の深さが垣間見える、奥深い展開だった。

■作中で2回故障!バグと機能停止で絶望的な状況に

 最後に紹介するのも劇場版のエピソードから。1992年の『映画ドラえもん のび太と雲の王国』では、ドラえもんが2度も故障してしまう。

 同作は、雲の上に城を建てようとしたのび太たちが、もともと雲の上に住んでいた天上人の陰謀に巻き込まれていくストーリー。のび太たちが天上人と初めて知り合った際は友好的に見えたが、何も告げられずに軟禁。不信感を感じたのび太たちは、天上人のもとから逃げ出すが、その際にドラえもんが落雷に見舞われて故障してしまう。

 そしてドラえもんは言語を話せなくなり、まともな思考もできずに意味不明な行動を繰り返してしまうのだ。これは、使い物にならないドラえもんに代わり、のび太が道具に頼らずに奮闘する姿が見られるエピソードだが、主人公のドラえもんが壊れてしまうという展開は絶望的だ。

『のび太と雲の王国』は天上人によって地球人が滅亡させられそうになったりと、全体的に恐ろしいシーン満載の作品。終盤ではドラえもんが故障するシーンがもう一度用意されており、子どもたちにとってはハラハラドキドキの映画だった。

 ロボットであるものの、ドラえもんが故障するエピソードは意外にも少なく、原作やアニメシリーズで明確に故障するシーンはない。なかにはお腹の白い部分を取り外して、ドラえもん自身が内部を点検しているシーンもあるが明確な故障とはいえないものだった。

 その分、実際に故障してしまうシーンは子どもにとっては衝撃的だろう。特に今回ピックアップした劇場版2作はトラウマもの。意図したものか偶然かは分からないが『雲の王国』は1992年、『ブリキの迷宮』は1993年に公開されており、2年連続でドラえもんの故障が続いている。この時代の小学生に強烈なインパクトを与えた作品ではないだろうか。

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