■惚れた女のために命をかける! 魂の右拳と涙が仲間を救った賞金稼ぎアイン

 最後は、賞金稼ぎのアインだ。このアイン、“女”のために生きていると言うが、その女というのが、一人娘のアスカでまだまだ幼い少女。

 アインは青年へと成長したバットやリンとともにケンシロウと元斗皇拳のファルコの戦いを避けるべく、天帝・ルイを救い出そうとするのだが、地下牢に落とされてしまう。

 地下牢には長年幽閉されていたルイがおり、ここで双子の妹のリンと再会を果たす。感動の空気も束の間、全員を圧死させようとジャコウが大きな岩石を落としてくるのだ。

 アインは身を挺して岩石を支え、全員助かるも、地下に閉じ込められてしまう。この時点で後頭部に大怪我を負っていたアインだったが、地下水脈を掘るための杭を押し込んで岩盤を崩し、地下水を出して脱出しようと目論む。

 すでに血まみれでボロボロのアイン……自らの右拳を使って杭を叩きつけるも、びくともしない。一発目ですでに拳が砕けていたアインだったが、魂を込めたもう一発で杭を打ち込むことに成功。しかし、岩盤は砕けず反応はない。

 力尽きて倒れたアインは「このオレの命じゃ不服か!!」「 くそったれ!!」と涙をこぼすと、その雫がきっかけで岩盤が崩れ、全員を生還させることができた。

 死の間際、アインはバットの腕のなかで娘のアスカを彼に託し、小指を立てて「コレ(アスカ)のために死ぬってのはなかなかのもんだぜ……」「フッ……少し…カッコよすぎるな………」と言って死んでいく。

 その後、行われたアインの葬儀でアスカは「わたしが泣いたらパパ眠れない」と泣かない。アインはアスカが寝付くまで眠ることがなかったのだ。アインを安らかに眠らせたいアスカの心に、世のお父さん世代は号泣したことだろう。

 そしてアスカは亡き父の形見であるグローブをケンシロウに託す。「なぜオレに?」とケンシロウが聞くのだが、「そのほうがパパも喜ぶから」と真っ直ぐ見据えるアスカ。いや、もう涙腺崩壊だ……。

 

『北斗の拳』は味方も平気で死亡するので、本当に悲しいエピソードが多い。筆者はこの3つがとくにお涙ものだったのだが、大人になってからは子どもが絡むとさらに号泣してしまうな。というか、いつもケンシロウは駆け付けるのが遅いような……。

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