普通の少女が変身して悪と戦うアニメのストーリーはいつの時代も少女の心をときめかせるもの。『美少女戦士セーラームーン』は放送から30年以上がたった今も人気を集め、2021年には新作劇場版が公開。また現在20作目が放送中の『プリキュア』シリーズは、初の試みとなる大人向け作品「キボウノチカラ~オトナプリキュア‘23~」の放送が決定したことを発表した。
1999年から2003年までテレビで4シリーズにわたって放送され、その後OVAや小説も発売された『おジャ魔女どれみ』も同様に今なお根強い人気を誇るアニメ。同作は小学生の「春風どれみ」らが魔女ガエルとなったマジョリカを元に戻すため、魔女見習いとして修行をする物語だ。
シリーズが進むごとにキャラクターたちは進級し、周囲の人々の悩みや思いと向き合う中で、主人公らも人間として少しずつ成長していく。そんな人間ドラマと軽快なギャグシーンが印象的な作品だが、頭身が低くかわいらしい絵柄や、主人公が小学生という点からは想像しがたいシリアスな展開が多く描かれていることはご存じだろうか。
今回は、大人が見ても考えさせられる『おジャ魔女どれみ』の重いシーンを紹介したい。
まずはメインキャラクターの1人・水色の魔女見習い服の妹尾あいこの家庭環境だ。彼女は大阪から引っ越してきた関西弁キャラ。両親は4歳の時に離婚しており、現在父親と暮らしているため家事は全てやっているというしっかり者だ。
そんな彼女が魔女を目指した動機は「お父ちゃんに幸せになって欲しい」というもの。あいこの健気で親思いの優しい一面がかいま見える。
しかし実は彼女は心の中で両親の離婚の原因が自分だと思っている。両親が共働きのため1人で遊んでいるときに怪我をしてしまい、これ以降両親のケンカが絶えなくなったためだ。彼女の明るさの裏にはこんな事情があったのだと、胸がつまる思いだった。
あいこには家族に関するエピソードが多く、ほか祖父の介護問題や父親の見合いなど、コメディタッチながら考えさせられる展開が多かった。最終的には両親はあいこが高学年のときに復縁したことで、安心した人も多いだろう。