2023年3月24日に、ホラーゲーム『バイオハザード4』のリメイクとなる『バイオハザード RE:4』が発売。シリーズでも屈指の名作が現行機に登場するとあって、シリーズファンの間で大きな注目を集めていたタイトルだ。
『バイオハザード』は今年で27周年を迎える息の長いシリーズであり、その流れでリメイク版も複数開発されてきた。ゲームキューブ向けに初代『バイオハザード』のリメイクが発売されたかと思うと、近年では『バイオハザード RE:2』や『バイオハザード RE:3』といったタイトルも登場。『バイオハザード7 レジデント イービル』や『バイオハザード ヴィレッジ』といった新作と並行して、『バイオハザード』をけん引するもうひとつの軸になっている。
本稿では、そんな『バイオハザード』のリメイク作である3作品をピックアップし、それぞれに導入された独自の要素を紹介しよう。
■リメイク版『バイオハザード』より、強力になって復活するゾンビ「クリムゾン・ヘッド」
2002年に発売された『バイオハザード』は、プレイステーションで出たシリーズ第1作のリメイク版。ゲームキューブ向けに開発されたことから、当時よりもグラフィックが格段に向上したほか、ストーリーや謎解きといった各種要素がアレンジされており、原作を遊んだ人も楽しめるようになっている。
リメイク版からの新要素のひとつとして、クリムゾン・ヘッドという新しい敵が追加されている。死んだ後に復活したゾンビのことで、変異前の個体を比べると体力と移動速度が大幅に強化されており、1体だけでも相手取るのは難しい。
そんなクリムゾン・ヘッドだが、いくつか対処法もあったりする。ひとつ目は、灯油とライターを組み合わせて死体を燃やすこと。プレイヤーによって倒された死体が一定時間後に復活するのがクリムゾン・ヘッド出現の条件なので、死体を燃やし尽くせば発生自体を未然に防げる。
ふたつ目はクリティカルを狙うこと。クリティカル判定の攻撃が当たったゾンビは頭部が吹き飛び、これだけでクリムゾン・ヘッド化を防げる。クリムゾン・ヘッドは強力だが、戦いようはあるので無敵なわけではない。
とはいえ、重要なのはクリムゾン・ヘッドの強さではなく、クリムゾン・ヘッドという敵が出現する可能性そのものにある。死亡したゾンビがいつクリムゾン・ヘッド化するかはランダムなので、すぐに復活するかもしれないし、長時間放っておいてもそのままかもしれない。そんななかで、限られた資源である灯油を使うのかどうか。アイテム管理が重要な「バイオハザード」において、このクリムゾン・ヘッドという要素がサバイバル要素をさらに増幅させ、オリジナルの初代にはない、新たな恐怖をプレイヤーに植え付けた。
■『バイオハザード RE:2』より、プレイヤーをひたすら追いかける強敵「タイラント」
『バイオハザード RE:2』は、2019年に発売されたサバイバルホラー。『バイオハザード』シリーズでも人気の高い『バイオハザード2』のリメイク版であり、現在までに全世界で1120万本を売り上げた。これは1170万本の記録を持つ『バイオハザード7 レジデント イービル』に次ぐ、シリーズ歴代2位の数字でもある。
本作には、レオンとクレアというふたりのキャラクターを軸にしたシナリオに、それぞれ“1st”と”2nd”があるのだが、そのどちらにも登場するのがタイラントという敵だ。2メートルをゆうに超える巨体で、帽子を被りコートをまとっている。
タイラント自体は原作にも登場したが、リメイク版では仕様が変わっている。まず、オリジナルでは裏編(本作で言う2nd)限定だったのが、今作ではどちらにも出てくる。ほかにも、物語の舞台のひとつである警察署内をリアルタイムで徘徊しているほか、近くでプレイヤーが発した銃声などの音に反応して近づいてきたり、こちらがいくら攻撃しても一時的に動けなくなるだけで、後に復活してまた追いかけてきたりする。
さらにタイラントが近くにいると重くて低い独特の足音が聞こえてくるうえ、実際に遭遇すると専用のBGMが流れてくるなど、恐怖感を煽る演出も多い。タイラントに追いかけられる恐怖に関しては、オリジナル版にも勝るだろう。
探索中に遭遇する本作のタイラントは、怯ませるのがせいぜいで、プレイヤーからすると絶対に倒せない厄介な存在と言える。それは、視点が固定されることで見たいところが見えない定点カメラや、ラジコンのコントローラーにも似た独特の操作方法など、昔の『バイオハザード』にあった恐怖に近い。プレイヤーにはどうすることもできないという、システム的な不自由さから生じる恐怖だ。