■実は相撲好きだった? 彩子さんの相撲ネタ
湘北のマネージャーだけでなく、試合の解説もこなす彩子さん。その中で、2回ほど相撲ネタを交えていたことを覚えているだろうか。
まず1回目は、陵南との練習試合で、仙道に対して思い浮かんだ「おちついた取り口の小錦」と例えたセリフ。陵南に対して、桜木のリバウンドで4点差まで追い上げを見せていた湘北。しかし、仙道の「あわてるこたーない。おちついて攻めよう」のたった一言で、陵南メンバーは落ち着きを取り戻してしまう。この仙道の姿に、慌てることなく、腰を据えて相手をよく見ていた元大関・小錦の姿を重ねたのだ。
2回目は、全国大会での山王戦で、桜木に対して思い浮かんだ「先代貴ノ花の土俵際の粘り」。210cm130kgの巨体・河田美紀男との真っ向からのパワー勝負に挑む桜木。対格差にも負けずに粘る桜木を見た彩子は、桜木の足腰について、元大関である初代貴ノ花の姿を重ねたのだ。
彩子さんに相撲好きという設定があるのは分からないが、1991年には若乃花・貴乃花兄弟の活躍により、若貴ブームが起きている。午後5時以降の相撲中継が連日高視聴率を記録していたこの時代、ひょっとすると彩子さんも相撲にハマっていたのかもしれない。
■魚住の「はらたいらさんに3000点…!!」
原作を読んでいて、魚住のこのセリフの意味が気になったという若い読者も多いのではないだろうか。大きなコマで描かれていることからも、印象に残っているのは筆者だけではないだろう。
このセリフは、湘北と翔陽の試合開始前に、海南と陵南のメンバーが勝負の予想をするときに生まれたセリフだ。仙道が「海南はどっちが勝つと踏んでるんすか? 牧さん」と質問すると、牧は「10点差で翔陽…」と回答。そして神が「陵南は? 魚住さん」と尋ねたときに、魚住が真顔で答えたのが「はらたいらさんに3000点…!!」というものだった。
『スラダン』連載当時、1992年まではTBS系でクイズ番組『クイズダービー』が放送されていた。この番組は、クイズ解答者の中で誰が正解するかをベッドして得点を増やしていくというもので、漫画家のはらたいらさんの正答率が非常に高かったため、何らかの予想をするときに“これは鉄板”というギャグとして「はらたいさんに○○点」というネタが流行っていた。80年代から90年代にテレビを見ていた人にとっては、説明をされなくてもほとんどの人に通じるであろうこのネタだが、放送終了から30年あまりたった現代ではさすがに分からない人も多そうだ。
今回は『スラダン』の中に散りばめられた昭和ネタについて紹介した。その意味や元ネタについてはじめて知ったという読者もいるかもしれない。他にも、今ではプレミアとなっている、当時流行った「ナイキのエアジョーダン」などのバッシュの数々も、懐かしいネタといえるだろう。