■ゴールデンタイムで人気を集めた『ブラック・ジャック』

 1973年から1978年まで『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて連載され、以降もたびたび不定期連載された手塚治虫氏の名作『ブラック・ジャック』も、テレビアニメ化までにかなりの時間がかかっている。

 90年代から何度かOVA化や劇場アニメ化されていたものの、同作が初めてテレビアニメ化されたのは2003年だった。このときはスペシャル番組で『ブラック・ジャック2時間スペシャル 〜命をめぐる4つの奇跡〜』というタイトルで、原作の中から4つのエピソードが放映された。

 このアニメが好評だったことで、2004年から2006年にかけてゴールデンタイムでレギュラー放送が開始。実力派人気声優の大塚明夫がブラック・ジャックを演じ、主題歌も人気曲ばかり。Janne Da Arcの「月光花」や大塚愛の「黒毛和牛上塩タン焼680円」が印象に残っているという人も多いだろう。

 続いて紹介する冨樫義博氏の『レベルE』は、地球にやって来た異星人のバカ王子が悪ふざけで周囲を困らせるというブラックコメディとシュールさが魅力のSF漫画。同作は『週刊少年ジャンプ』で1995年から1997年まで、異例の月1連載された。

 ヒット作『幽☆遊☆白書』と『HUNTER×HUNTER』の間に連載された作品で、『HUNTER×HUNTER』の2度目のテレビアニメがスタートする9か月前となる2011年1月に初のアニメ化。『うしおととら』同様、アニメでは薄型テレビや携帯電話が登場し、話の筋は変わらないものの現代を意識した時代設定に変更されていた。

 連載終了からテレビアニメ化されるまでにかなりの時間が経っている作品は少なくない。それは作品の持つ魅力やメッセージ性に、世の中がようやく追いついたと判断されたためであろうか。

 連載とアニメをリアルタイムで同時に楽しむことはできなくても、アニメをきっかけに原作を読んでみたいと思う人も増えるだろう。元々の原作ファンにとっても、後になってのアニメ化はとても嬉しいことに違いない。

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