■目が見えずとも暗殺集団を一人で圧倒『鉄拳チンミLegends』リキ

 最後は前川たけし氏による『鉄拳チンミLegends』から、大林寺の師範・リキを紹介したい。主人公・チンミにとっては師匠であり、親友のシーファンの兄弟子にあたる彼は、視力を失っていながら棍法(こんぽう/棒術)の達人で、サラッとした長髪と端正な顔立ちで町の女性ファンも多い。

 リキにはチンミの通背拳やシーファンの捻糸棍などの一撃必殺の技はないが、単純に高いレベルで心技体に優れている。戦闘シーンはあまりないが、一番熱かったのは暗殺集団との戦いだろう。

 暗殺集団に捕らわれたチンミを救うべく、大林寺門下一同が国軍と協力して敵アジトへと攻め込むのだが、ここでチンミの弟子たちが集団からはぐれてしまい、その隙に暗殺集団の襲撃に遭い大ピンチに陥ってしまう。

 そこへ颯爽と現れたのがリキだ。棍の一撃でまずは一人目をノックダウンさせ、「ここからは 私が引き受ける」と、自分の足元に円を描き、集団で攻めてきた暗殺集団を棍だけでいなしてしまう。

 いや、なにが凄いって、激しい戦闘にもかかわらず、恐らく最初に描いた円から出ていないことだろう。さらに熊手(鉄の爪のようなもの)を武器にしている敵に対し、リキは素手でこん棒を持ち、体勢を変えながら敵をどんどん攻撃不能状態にしていく。

 チンミですら手こずるほど暗殺集団は隊長クラス以外のザコでも相当に強いのに、それを心眼ですべて叩きのめしていくから爽快だ。しかも、暗闇で敵を目視できない弟子たちを守り、指示を出しながらだ。

 この戦闘シーンが描かれた110話のタイトルは「無双」。長年のチンミファンにはたまらないな。シリーズで最強クラスのオウドウやボル将軍と対決したとしても、実力は拮抗するだろうと思う。

 

 さて、ここで紹介した脇役キャラは全員が主人公を凌駕する実力を持っており、それぞれが周囲に尊敬される人格者でもある。北斗神拳は例外として、朧とリキの戦いは中国拳法の対決として面白そうだな。

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