■大人の社会を彷彿させる『けろっこデメタン』

 続いては同じくタツノコプロ製作の1973年放送『けろっこデメタン』。こちらはアマガエルのデメタンが主人公で、トノサマガエルの娘・ラナタンとの身分違いの交流が描かれる。

 物語後半ではさらに物語のスケールが大きくなり、池を支配していた大ナマズからの解放戦争の話へと発展する。

 同作は1話からかなり厳しい自然の様子が描かれ、デメタンはもともと住んでいた池がイモリに襲撃され、逃げる途中の土砂崩れもあって兄弟を全て失ってしまう。引っ越したあとも貧しく学校に行けないデメタンは、さまざまなキャラクターから陰湿ないじめを受ける。

 このほか、弱い生き物たちが地域の権力者に生活を踏みにじられる様子は、どこか大人の社会を彷彿とさせる。ほぼ全話に渡って、見ているだけでツラくなってしまう内容だった。

■『ガンバの冒険』の最凶すぎる敵・ノロイ

 最後は1975年放送の東京ムービー製作『ガンバの冒険』を紹介したい。白イタチのノロイを倒すためにガンバをはじめとする勇敢な7匹のネズミが冒険をするという話だ。

 同作の恐ろしさは、とにかく巨大な絶対悪・ノロイだろう。ネズミたちにとっては怪物のようにとてつもなく大きいノロイは強さに加えて賢さもあり、どうやったら倒せるのか皆目見当もつかない恐ろしい敵だった。実際、作中ではノロイの直接的あるいは間接的な策略で多くのキャラが命を落としている。

 この壮大な冒険は、どうしても子ども向けとは思えない。

 それぞれのアニメに共通しているのは、いずれも動物や虫が擬人化されたように手足を自由に動かし、人間の我々のように思考して行動するところ。これによって視聴者は彼らに親近感を覚えるが、これらの作品の根底に描かれるのは、いずれも厳しい自然の脅威だった。弱肉強食の捕食シーンや仲間が殺されたりといった容赦のないシーンを見ては、我々もいつか何か大きく強いものに蹂躙されるのではないかという恐怖を感じた。

 このほかにも「自分の力ではどうしようもないこともある」という漠然とした不安を煽るシーンが多く、当時の作画技術も相まって劇画のようなタッチが恐ろしさを加速させていた。

 なおこの時期の作品には、動物が主人公でないながらも、子どもの心にトラウマを残した作品も多い。1972年放送のタツノコプロ制作のアニメ『樫の木モック』もそうだ。同作は児童文学『ピノッキオの冒険』をモチーフにした作品で、はじめはワガママだった主人公の木の人形・モックが、物語の後半では「悪魔の人形」と呼ばれ旅先で逃避行を続け、その中で多くの人に出会い成長していくという物語だ。

 こちらは自身より強い動物への恐怖ではなく、人間の冷たさや残酷さ、薄情さを感じるシーンが多く、ここまで紹介した作品とはまた違う物悲しさがあった。

 あらためて見ると、大人でも震えるほどトラウマ必至の作品ばかり。よく当時の子どもたちは毎週アニメを見ていられたものだと感心してしまう。

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