■世界中で愛される“海賊マンガ”『ONEPIECE』

 1997年から連載されている尾田栄一郎氏の『ONE PIECE』。言わずと知れた名作で、“海賊”というテーマにおいて本作の右に出るものはないだろう。

 2023年3月時点で105巻もの単行本が発売されている長寿作品だが、2019年の時点で「あと5年で終わる」と尾田氏本人が発言したこともあり、物語はいよいよクライマックスへと舵を切っている。

 世界中から関心を集める本作だが、実はその前身は読み切り作品だった。『ONE PIECE』の前身となった『ROMANCE DAWN』は、1996年の『週刊少年ジャンプ 増刊号 1996年 Summer Special』に掲載されたバージョンと、同年『週刊少年ジャンプ 1996年 41号』に掲載されたバージョンの2作が存在しているという。

『Summer Special』版ではルフィを助けてシャンクスが片腕を失い、麦わら帽子を彼に預けるという有名な名シーンが描かれていた。しかし本誌に掲載された『41号』版では、連載の際のインパクトを重要視し、『ONE PIECE』で描かれていた名シーンはあえて変更されていたようだ。

 ちなみに『41号』版ではルフィの麦わら帽子は、祖父から受け継がれたものという設定なのだが、ここで登場するルフィの祖父のビジュアルは『ONE PIECE』に登場するガープに受け継がれているようだ。

 また、双方で共通しているのが、無法に略奪を繰り返す海賊を「モーガニア」といい、ルフィのように“モーガニア”をカモにする海賊を「ピースメイン」と種類分けしている点だ。

 2種類の海賊が存在するという設定は、『ONE PIECE』では見られないものの、ルフィの根本的な“ヒーロー感”はこの「ピースメイン」としてのルフィが深く関係しているのかもしれない。

 

 読み切り作品を前身として連載化した名作たち。読み切り版から連載作品へ受け継がれる設定もある一方、連載化によって大幅に変更されている部分もあるようだ。

 作者たちがそれぞれ描いた初期設定を知ることができる読み切り版。本編とはまた一味違う楽しみ方ができるのではないだろうか。

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