人気漫画のなかには、読み切りから連載化されたものがある。読み切り作品のときから設定が大幅に変更され、連載化を果たす作品も多く人気作品ほどそのギャップに驚かされるのではないだろうか。今回はそんな読み切りから連載化によって設定が変更された作品を、『週刊少年ジャンプ』(集英社)の名作からご紹介しよう。
■実写映画も大ヒットしたサスペンス名作『DEATH NOTE』
名前を書いた人を死なせることができる死神の「デスノート」を巡るサイコ・サスペンス、『DEATH NOTE』。原作:大場つぐみ氏、作画:小畑健氏による本作は、連載前に読み切り版があった。
2003年『週刊少年ジャンプ 36号』に掲載された読み切り版では、クラスメイトからいじめを受けていた鏡太郎という中学生が主人公として登場する。ある日、死神リュークの落とした「デスノート」を拾った鏡太郎は、そのノートを日記帳として使ってしまい、いじめの内容を記したことでいじめっ子たちは死亡してしまうのだ。
一連の事件を追う刑事に発覚することを恐れた鏡太郎は、「デスイレイザー」という“内容を取り消せる消しゴム”を使ってクラスメイトを生き返らせていく。
本編と大きく違うのは、この「デスイレイザー」という存在だろう。本編では一度書いた内容は変えることができず、死亡した人間が生き返ることはない。読み切り版に登場する「デスイレイザー」が本編に採用されていたら……また違った結末が描かれたかもしれない。
ほかにも、デスノートを使用できるのは「拾った人」に限定されている点や、ノートを拾った人全員に死神が見えるわけではないなど細かな設定も本編とは違うようだ。
本編ではLとの推理合戦など手に汗握るサスペンスが描かれていた『DEATH NOTE』だが、読み切り版ではホラー要素が強めの仕上がりになっていた。
■同名タイトルの読み切り作品から連載へ!『BLEACH』
『赤マルジャンプ 2001 WINTER』に読み切り作品として掲載された、久保帯人氏の『BLEACH』。本作も読み切りを経て連載化した名作の1つである。
読み切り版『BLEACH』では、主人公・黒崎一護の実家が町医者ではなく葬儀屋で、妹や父親といった家族が登場しない。ルキアとは学校帰りに偶然出会うのだが、“虚”との戦いで力を使ってしまったルキアの体がタバコの箱くらいの大きさに縮んでしまったことから、一護が1週間死神を代行するという物語となっていた。
また、本作のヒロイン・井上織姫はなんと読み切り版では死亡している。本編に登場する織姫の兄は登場せず、数年前に他界したという父親の虚に襲われる役どころになっていた。
読み切り版の『BLEACH』、細かな設定は違えど本作の世界観はそのままに、織姫親子に関係する泣けるストーリーとなっている。本編に“虚”となって登場する織姫・兄のエピソードを彷彿とさせるこの読み切り版、機会があればぜひ読んでみてほしい。