■後世にすべてを託した『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』ノイエン・ビッター
最後に、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のノイエン・ビッター。“老兵”と呼べる年齢かは分からないが、ジオンのMSパイロットとしては高齢なほうではないだろうか。
一年戦争での敗北後、ビッターは物資の乏しいなか地球のキンバライト鉱山基地を守り、3年ものあいだジオン再興のときを待ち続けた。そして満を持して、極秘任務“星の屑作戦”が決行される。
アナベル・ガトーが連邦軍からガンダム試作2号機を奪取すると、ビッターはガトーとガンダムを基地に迎え入れ、最後の一機となったHLVで宇宙に送り出す役目を担った。
その後、HLV打ち上げまで連邦軍を引きつけるために出撃したビッター。無事に宇宙に向かうHLVを見届けて「星の屑作戦に栄光あれ!」と言うと、敵艦隊のブリッジに突撃し、ガンダムによって撃墜された。
命を賭して星の屑作戦成功に努めた彼らだったが、作戦の詳細は知らされていなかった。しかしビッターは「全ては新しきジオンのために!」と、3年間のすべてを作戦に捧げた。空に向かって手を伸ばすような姿で沈黙した彼のザクは、その思いを象徴しているかのようだ。
以上、華々しく散っていた、かっこいい老兵たちを紹介した。彼らに共通しているのは、それぞれが揺るぎない信念を持っていたことだろう。表舞台から消え去ったとしても、その志は死ぬことなく物語のなかに受け継がれていく。ここではそういう意味で、「老兵は死なず」という言葉を彼らの餞に送りたい。