尾田栄一郎氏による『ONE PIECE』の世界では、“悪魔の実”の能力者たちが猛威を振るっている。しかし、そんななかでも悪魔の実を食べずに、単純な戦闘力の高さのみで生きてきたキャラクターたちの存在があることを忘れてはならない。
今回は『ONE PIECE』に登場した、“悪魔の実の能力者じゃないのにすごいキャラクター”を、厳選して紹介したいと思う。
■どの世界でも仕事が出来る男?「キャプテン・クロ」
まず初めに紹介するのは、クロネコ海賊団の元船長「キャプテン・クロ」だ。
今や四皇にまで成長したルフィの強さを見れば、クロはもはや序盤に登場した“雑魚キャラ”という印象を抱かれてしまっているのも致し方ないことだ。しかし、彼自身の戦闘能力は非常に高く、常人では到底太刀打ちできないことは間違いない。
クロは「抜き足」という高速移動をしながら敵を切りつける戦闘方法を得意としているのだが、この「抜き足」での移動速度が尋常じゃないのである。のちに登場する世界政府の諜報機関「CP9」が使う移動方法「剃」とほぼ互角の速度での移動が可能であると、作者の尾田氏が本作のSBS(おまけページ)で明らかにしているほどだ。実際、ルフィでもその姿を捉えることはできておらず、切り付けられた瞬間に服を掴むことでクロの動きを止めている。
あまりの速度ゆえ敵味方関係なく攻撃してしまうという欠点があるものの、技の錬度を高め精密な攻撃をすることができたならば、驚異的な海賊に成長していた可能性もあるだろう。
加えて、頭脳派ゆえに“百計のクロ”の異名を持つ彼は、3年間もシロップ村に溶け込めていたという諜報能力をも持っている。優秀な諜報員としての道を目指すことができたかもしれない、実は非常にポテンシャルの高いキャラなのである。
■“鬼人”はやがて“鬼神”となるか…?「ギン」
続いて紹介するのは、クリーク海賊団の戦闘総隊長を務める「ギン」である。
冷徹さから“鬼人”と呼ばれ恐れられていたギンだが、根本は非常に義理堅く男らしい性格であるため未だにファンが多く、再登場を期待されているキャラクターの一人だ。
“鬼人”と呼ばれるだけあってその戦闘力は非常に高く、恩情を抱いていなければサンジにも勝利していたほどである。
見た目は非常に細身なギンだが、鉄球付きのトンファーのような武器を自在に操る怪力の持ち主でもある。その武器の破壊力は絶大で、すでに十分な戦闘力を有していたバラティエの“戦うコック”だったサンジの骨を砕くなどして苦しめていた。
さらに、バラティエの甲板を割るだけでなく、“鉄壁”を誇るパールの鎧を粉々に砕いたシーンは、多くの読者に衝撃を与えたことだろう。
もちろん戦闘においての立ち回りが洗練されているのも強さの要因だとは思うが、単なる武器での攻撃でここまでサンジを圧倒しているのだから、仮に悪魔の実を食べた場合や、ゾロのように武器の扱いを極めた時の強さは、下手をすれば新世界でも十分に通用するものとなるのではないだろうか。
再び戦う……とはならなくとも、『ONE PIECE』が完結するまでに成長したギンの姿が見られることを期待したい。