■作風にまで干渉!? アニメではさらなる仕掛けも…「空知英秋」
比較的最近の例でいえば、『銀魂』の空知英秋氏も同作の“人気投票篇”で本人役(見た目はゴリラをデフォルメしたもの)として登場している。
このエピソードは、2009年に『週刊少年ジャンプ』誌上でおこなわれた本作のキャラクター人気投票の結果をネタにしており、それ自体メタ要素が強い。キャラが自身の順位について知っているうえ、その結果が気に入らない者たちが順位改変を目論むというとんでもない話なのである。下ネタ盛りだくさんかつドタバタで、いろいろな意味で『銀魂』らしいエピソードだといえるだろう。
空知氏はこのときの人気投票で16位というそこそこの位置についており、そのせいでメインキャラでありながら17位の妙にシメられることに。その後サイボーグとして復活したり、いろいろあった結果、本作の作風が迷子になってしまったりと、もうふざけまくりなのである。アニメ化されたときには、OP映像まで激しく作画崩壊するというネタまでぶち込まれ、話題を集めた。
ちなみに本作には作者が自身をモデルにした“天知”という漫画家が登場したこともあるが、こちらは見た目も話し方(鳴き方!?)も、ゴリラそのままである。作中では『ギンタマン』という作品を連載しているものの、編集者にはボロクソに言われてしまっていた……。漫画家が自身をキャラとして登場させるとき、自虐ネタは定番なのかもしれない。
自分が生み出したキャラと交流したり、物語のなかで思うまま振る舞ったり、ドタバタ劇を繰り広げたり……。どれも原作者の特権という感じで、作者キャラが生き生きしているのを見るとなんだか微笑ましくなってしまう。
描き方を間違えると作品の世界観を壊しかねないので、そこは作品そのものの性質と作者のセンスに懸かっているといえるだろう。