■海南の冷静な二人も大興奮 牧&高頭監督
冷静に偵察していた海南の面々も、突き放されては食らいつく湘北の闘志に、最後は「死んでも守り切れーーっ‼」「おめーらぁ‼」と、まるで仲間に送るような声援を送る。赤木が河田をブロックした場面では、あの冷静なキャプテン・牧紳一ですら興奮した表情で「止めたあーーっ‼」と叫ぶほど。
また“智将”の呼び名で知られる海南の高頭監督は、良いリズムをつかんだ湘北が10点差まで追い上げた場面で「グッドリズム‼」「グーーッドウィドゥム‼」と清田も引くほどはしゃいでいる。なぜ英語ネイティブのような発音になったのかは謎だが、謎発言が目立つ陵南の田岡監督ならともかく、高頭監督のこのような場面は貴重だった。
■番外編:彦一、執念の大量FAX
山王戦の応援には来ていないが、陵南の相田彦一は練習試合のときから湘北を買っており、選手たちとも比較的深い関係を築いてきた。
そんな彦一が故郷の大阪に帰ったときのこと。豊玉高校の岸本実理から陵南のエース・仙道彰をバカにされて腹を立て、豊玉の試合をチェックしまくり、神奈川代表の湘北と海南にデータを渡すことを誓った。
実際、インターハイ初戦で豊玉と当たることになった湘北の宿には、彦一から「あなただけにそっとおしえる…これが豊玉だ!!」と題された大量のFAXが送られてきている。私怨もかなり混じっているものの、こんなに心強い応援はなかっただろう。彼が電話口で叫んだ「フレ〜〜〜 フレ〜〜〜 ショ・オ・ホ・ク!!!」の言葉も温かかった。
無名の湘北が全国王者の山王に挑む場面は、多くの人々の胸を打った。敵も味方も関係なく一心不乱に挑む者の姿を見るとつい応援したくなるのが、人の心情というものらしい。
数年後、このときの山王と湘北のメンバーもまた、互いを認め合い鼓舞し合う関係になるのだろう。その場面を想像するのもまた楽しい。