■『BORUTO』ナルトとボルトの共闘
息子のために! という「親子共闘」では、岸本斉史氏(原作・監修)、池本幹雄氏(作画)の『BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS-』(集英社)も外すことはできない。父・ナルトと息子・ボルトによる親子共闘が実現したのは、大筒木イッシキとの戦い。イッシキを倒さなければ未来はない、そんな状況でナルトは命を賭けた戦いに挑んだ。
それは息子のボルトも同じで、ナルトやサスケとともに戦いに加わったのだ。普段はあまり会話をしない二人だが、戦いの終盤にナルトはボルトを守るために死を覚悟する。ナルトは、イッシキを倒すために九喇嘛(くらま)の力を極限まで引き出し、大きな代償と引き換えに強大な力を手にする。ここでやられたら息子も守れず全てが終わる、そんな父の気迫を感じさせられるシーンだった。
『NARUTO-ナルト-』の続編として、第四次忍界大戦から15年後の世界を描いた同作。子ども世代のキャラと親世代のキャラ、それぞれが絡むシーンがあり、親子がともに戦うシーンは涙なくしては読めないものばかり。二世作品として描かれる長寿漫画ならではの楽しみだろう。
■『鋼の錬金術師』ホーエンハイムとエルリック兄弟の共闘!
荒川弘氏による『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)にも、熱く悲しい親子共闘バトルがある。それがラスボス・お父様との最終戦だ。お父様が最終形態を迎えたとき、エドとアルは錬金術を封じられ、お父様に対抗する手段を封じられ為すすべがない状態になってしまう。
そんな窮地に、救世主として現れたのが2人の父親であるホーエンハイムで、お父様の攻撃を錬金術ではなく自らの力で受け止める。ホーエンハイムはエドとアルを必死に守りながら戦い、アルが消滅した際には自らの命を投げ出そうとした。それは、これまでできなかった父親らしいことを果たそうとしているかのようだった。しかも戦いながら息子たちの成長を間近で見ることができ、実に生き生きとしていた気もする。
ホーエンハイムの協力によってお父様は倒すことができたが、その直後に彼は息子たちに気づかれないように姿を消す。数百年生き続けたホーエンハイムは、これまでに得られなかった本当の幸福を手に入れたのだろう。そんなホーエンハイムの最後のシーンは、親子共闘があったからこそで、エドやアルと心が通じ合うことができた父の気持ちを思うと、やはりホロリときてしまう。
親子共闘バトルはそう珍しいものではないかもしれないが、これまでの親子関係やバトルの結末によって感想も大きく変わるだろう。そして、年齢を重ねたからこそ分かる親子共闘の良さもある。