■スタンド使いの闘技場?『ジョジョの奇妙な冒険』フロリダ州立グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所

 荒木飛呂彦氏による『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)には、さまざまなシリーズで個性極まりない極悪な監獄が登場しているが、第6部で描かれた「フロリダ州立グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所」も、かなり厳しい施設だ。

 外国の刑務所なので日本との文化の違いもあり、囚人も看守も個性的なキャラばかり。しかし、一番の問題はやはりスタンド使いが跋扈する刑務所というところだろう。囚人だけではなく看守にもスタンド使いが潜んでいるので、主人公・空条徐倫は所構わず命を狙われることになった。

 とくに厄介な存在が、刑務所を訪れる教誨師のエンリコ・プッチだ。スタンド「ホワイトスネイク」で陰で刑務所内の囚人や看守を誘導し、ジョースター家を根絶やしにしようと企んでいた。

 それによって刑務所内は、スタンド使いの闘技場へと変わり、気の休まる時間がない展開の連続となる。しかも刑務所には“秘密の部屋”と呼ばれる場所があり、作中、エンポリオ・アルニーニョが誰にも気付かれずに潜んでいたりもした。

 スタンド使いだらけのうえ、謎の部屋もある相当ヤバいこの刑務所。普通の受刑者や看守が戦いに巻き込まれて死んだりもしているが、まったくもって良い迷惑だ。どんな極悪人も、この刑務所に入るのだけは拒みたいだろう……。

 

 極悪人や個性的な犯罪者が多く登場する、漫画の監獄の数々。それに見合った造りや人員の配置になっているため、並の囚人ではその環境に耐えることができず逃げ出したくなるのも当然だ。

 だが、こういった個性的な監獄での出来事も、漫画を彩る1つの要素である。屈強な囚人や看守たちが繰り広げるバトルに手に汗握りワクワクするのも、また一興ではないだろうか。

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