80年代、肩パッドを入れるなどして肩回りを大きく膨らませる“パワーショルダー”が流行したが、2023年の今年、それが再びトレンドになるという。実際にファッション通販サイトをのぞいてみると、肩の大きなジャケットなどが春の新作として売り出されている。ところで漫画好きな人は、“肩パッド”という言葉から『北斗の拳』を連想することはないだろうか。あれはファッションアイテムではなく防具なのだろうが、よく見るとこだわりのデザインも多く、個性を象徴するアイテムとしても一役買っている。今回は、そんなこだわりの肩パッドを大真面目に集めてみた。
■そもそもなぜ『北斗の拳』ではみんな肩パッド?
1981年に公開された映画『マッドマックス2』が『北斗の拳』の世界観に影響を与えたというのは有名な話だ。今や世紀末の代名詞ともなったバイク・モヒカン・肩パッドの3点セットは、この映画が走りである。『北斗の拳』の肩パッド着用率が高いのも、そういった経緯だろう。
人体の構造上、肩は打撃を受けやすい。また、武器を扱って戦う以上、腕の動作の支点である肩の防御は必須。洋の東西を問わず、鎧には必ず肩当てがついていることを考えても、『北斗の拳』の荒廃した世で肩パッド着用率が高いのはうなずける話だ。
■ケンシロウは名前入り
それでは、まずは主人公・ケンシロウの肩パッドを紹介する。宿敵であるシンと戦うまでは、彼は右肩にしか肩パッドをつけていない。ネットでは「金がなくて片方しか買えなかった」なんてネタになっていたようだが、デザイン的にはアシンメトリーなのがかえってかっこいい気もする。
しかもこの肩パッド、よくよく見ると小さく「KEN」と刻銘されているのだ(コミックス第1巻「怒り天を衝く時!の巻」の扉絵)。特注品なのだろうか……。このあたりからも、この世界で肩パッドがそれなりにこだわりのアイテムであることが窺える。
■ゴージャスな装いの“炎のシュレン”
世紀末暴徒たちの流行は、ファーやフェザーと肩パッドを組み合わせるスタイルらしい。物語の冒頭から、やたら肩や首回りをフサフサさせた連中をよく見かける。
これと同じタイプでありながら一線を画しているのが、南斗五車星の1人である“炎のシュレン”だ。
彼は通常の肩パッドの上に、さらに肩から肩甲骨あたりにかけて覆う防具のついたマントを羽織っている。つまり肩パッドの2枚着けだ。さらに肩回りにフェザーの巻き物をして、前肩あたりに留め具で固定している。防具も留め具も凝ったデザインでゴージャス感があり、シュレンの生き様そのものとも言える“燃え盛る炎”を連想させる。