常に成長し続ける『ONE PIECE』の主人公のモンキー・D・ルフィ。そんな彼がいつまでも変わらずに持ち続けているのが、“少年の心”だろう。物語では、時折童心に戻って目を輝かせながら喜ぶシーンがいくつも見られる。今回は、思わずルフィが童心に戻って目を輝かせてしまったエピソードを、いくつか厳選して紹介しよう。
■価値が高くともナミにとってはただの虫「ヘラクレス」
まず紹介するのは第235話「突き上げる海流」より、ルフィがカブトムシの「ヘラクレス」を嬉しそうに持って走ってくるシーンである。
空島へ向けて出航する前夜、モンブラン・クリケットの夢をあざ笑うベラミーに強奪された金塊を取り戻すため、モックタウンに向けて走るルフィ。目にもとまらぬ速さで跳ね回るベラミーに“パンチの打ち方”を教え、一撃でたたきのめし金塊を取り返した。そして、すぐに一味のもとに戻るはずだったが、朝になってもルフィは帰ってこない。
空島に行くための特殊な海流に乗り遅れてしまうとナミが苛立ちを見せているところに、「やったぞ〜〜〜!!」「これ見ろ!!!」と、嬉々とした表情で駆け込んできたルフィ。その手に携えているのはなんと、昆虫界で最も希少価値の高い「ヘラクレス」だった。
それに対し、もちろん「何しとったんじゃーーー!!!」と、仲間たちの激しいツッコミが入る。実は第230話「サウスバードを追え!!」でも、ルフィがカブトムシやクワガタの種類である「アトラス」と「ミヤマ」を見て興奮する描写が描かれており、「“ワンピース”とどっちがすごいんだ!?」というチョッパーの質問に、答えあぐねる姿も描かれている。
筆者はこのシーンを見て、“アトラスはルフィの最大の夢と同列の価値なのか?”と感じたが、冷静になって考えてみると「ワンピースを見つけたい!」とルフィが明言したことは無いことに気づく。ルフィにとっては海賊王になることとワンピースを見つけるということは別なのではないかと感じた、印象的なシーンだ。
■彼は今でも心の中に…「そげキング」
続いて紹介するエピソードは第376話「わかった!!!」より、「そげキング」と初対面を果たしたシーンだ。
そげキングの正体は、激しい損傷を負ったメリー号の今後を巡ってルフィと対立し、一味を離反したウソップが司法の島に連行されたロビンを救出するため、顔を隠してヒーローのコスプレをしたキャラである。
サンジとフランキーの前に彗星のごとく姿を現したそげキングだったが、ウソップの要素を1つも隠しきれていないその姿を見て2人は何も言わずにスルー。そげキングの自己紹介をことごとく無視し、作戦会議を続けるのであった。
一時はロビンの救出に成功するも、一味に戻る気のないロビンとCP9の力に圧倒され、海の真ん中に取り残されたサンジとそげキング。
後続から追ってきたルフィたちと合流し、ついに全員と対面を果たすことに。すぐに見抜かれてしまうのではと思いきや、そこはさすがのルフィ。「すげェ ヒーロー初めて見た!!!」と興奮し、ウソップに握手を求めるのである。ちなみにチョッパーもそげキングの正体には気づいておらず「サインください」と、どこで購入したのか、サイン色紙を差し出す姿も見られる。
その後も、ルフィとチョッパーが明確にそげキングの正体がウソップだと気づく描写はなく、ロビン救出後の船内でウソップを探すルフィとチョッパーに対し、「あいつら一体何をもってウソップと認識してんだ」と言うゾロのモノローグが非常に秀逸である。