歴代『ドラクエ』全てはプレイヤーの選択しだい“取り返しのつかない要素”3選! あとで知って後悔した経験も…?の画像
画像は『ドラゴンクエスト』『ドラゴンクエスト3』『ドラゴンクエスト5』『ドラゴンクエスト8』『ドラゴンクエスト11』(編集部撮影)

 国民的RPG『ドラゴンクエスト』では、個性豊かなキャラクターたちの物語が描かれている。プレイヤーが主人公として彼らの話を聞き、悩みを解決していくことで彼らの人生に大なり小なり介入していると言えるだろう。その中でも、例えば『ドラクエ5』におけるビアンカ・フローラの花嫁選びなど(DS版ではデボラも追加)、どちらか一方を選択しなければならない場面もあり、その選択次第で取り返しのつかないほど大きく物語が変わる要素が存在している。

 場合によっては攻略情報などを事前に見て、準備万端のうえでプレイする人もいるかもしれないが、多くの人にとっては非常に悩んでしまうゲームの中の選択肢。後戻りが出来ないというケースもあり、後にもう片方側のルートの話を知って大後悔するなんてこともしばしばだ。

 そこで、今回は『ドラクエ』歴代ナンバリング作品の中から「取り返しのつかない要素」をいくつか振り返りたいと思う。

■伝えるべきは嘘?真実?選択次第で仲間になる戦士

『ドラクエ6』に登場する戦士・アモスは、プレイヤーの選択次第で仲間になるかどうかが変わるキャラだ。

 アモスは、モンストルの町を魔物から救った偉大な英雄として慕われている人物。しかし、魔物を退治した際に、お尻を噛まれたことから夜な夜な怪物になってしまう呪いを受けていた。夢遊病のような状態のため、アモス自身、変身しているときの記憶はない。町の人たちは、アモスに助けてもらった恩を返すために、アモスにその事実を隠すだけでなく、主人公らを含む旅人にも別の町に行くよう勧め、その正体を守り抜いていたのだ。

 すべての事情を知った主人公たちが、呪いを解く「りせいのタネ」を取りにいく前にアモスに話しかけるとき、取り返しのつかない選択肢が発生する。アモスが魔物に変身している事実を本人に伝えるかどうか、というものだ。実は、この選択肢は、アモスが仲間になるか、町から出ていったのち二度と会えなくなるかの分岐となっている。

『ドラクエ6』リメイク版で会話システムが追加されたことで、戦士としての能力の高さだけでなく、ボケやギャグを披露するなどの面白さも兼ね備えたキャラであることが明らかに。彼を仲間にしたいと思うプレイヤーも増えたのではないだろうか。

■町を救う?滅ぼす?一匹のモンスターが町の行く末を変えた

『ドラクエ7』に登場するチビィは、ルーメンの町を襲った魔物にくっついていたところ、町人であるシーブルに見つけられ、飼われることになった小さな虫だ。

 サンドワームと同じグラフィックをしていたことや町が何度も魔物に襲われてきたことから、町の人たちはチビィを危険視し、退治しようとする声が強くなっていった。

 そんなときに訪れた主人公たちに町の人たちは、チビィを退治するように依頼してくる。この選択肢こそ、取り返しのつかない要素であり、チビィを退治するかどうかが町の行く末の分岐となっている。

 チビィを退治すると町は滅び、チビィを退治しないと町は救われるのだ。というのも、チビィを退治してもしなくても、ヘルワームの大群が町を襲ってくる。そのとき、チビィが生きていると、自らの命と引き換えに町を守ってくれるが、チビィを退治していると、シーブル以外の町の人たちは全滅してしまうのだ。

 チビィが犠牲になったルートにおけるせめてもの救いは、チビィ亡き後、町の人たちは自らの過ちに気づき、後世にチビィの存在を英雄としてきちんと残したこと。この点に関しては、同じ『ドラクエ7』のとある村との大きな違いといえるだろう。

■恋物語の終着点は嘘?真実?50年間待ち続けた人魚

『ドラクエ11』に登場するロミアは、人間の男性であるキナイ・ユキと恋に落ち、海底王国ムウレアでともに暮らす約束をした後、彼を白の入り江で待ち続けている人魚だ。偶然訪れた主人公たちに、キナイの様子を見てきてほしいと依頼してくる。

 しかし、ナギムナー村を訪れた主人公たちは、ロミアとキナイが約束を交わしたのは50年前であり、すでにキナイは亡くなっていることを知る。

 白の入り江に戻り、ロミアに話しかけると、取り返しのつかない選択肢が発生する。キナイの死の事実を伝えるか、迎えに来てくれると嘘をつくかというもので、ロミアの運命が大きく分岐してしまう。

 嘘をつくと、ロミアは白の入り江で一人、ただただキナイを待ち続けるのだ。優しい嘘ではあるのだろうが、後味の悪さが残るだろう。一方、真実を告げると、ロミアはキナイの死を確かめたいとナギムナー村の海岸にある暮石のもとへ。尾ひれを捨て、自らの足で暮石のもとに歩み寄ったロミアはわずかな抱擁と口づけをかわしたのち、海へと戻っていく。しかし、尾ひれを捨てるという禁忌を犯したロミアは、掟によって泡となり、消えてしまうのだ。

 どちらの展開を選んでも非常に印象に残る物語になっている。ちなみに、選択肢を選ぶ前に仲間に話しかけると、仲間一人一人の価値観を知ることができて非常に面白い。

 以上、『ドラクエ』歴代ナンバリングのうち、取り返しのつかない要素を紹介した。アモスの選択肢のように絶対的に正解といえるような分岐がある一方、ロミアの選択肢はプレイヤーそれぞれの価値観に委ねられるような分岐もあるのが、非常に奥深い。こうした要素を楽しみながら、また『ドラクエ』を遊んでみてはいかがだろうか。