一時社会現象にまでなった諫山創氏による漫画『進撃の巨人』が、約12年間の連載を終えて2021年についに完結を迎えたことは記憶に新しい。そして、これまで4期にわたって放送されてきたテレビアニメシリーズも、今年3月3日放送の「The Final Season 完結編(前編)」で、いよいよ大団円へと向かう(後編は2023年放送予定)。また2月25日深夜からは、これまでの全87話を7本にまとめた特別総集編が3夜連続で放送されており、アニメ完結に向けて『進撃の巨人』が再び盛り上がりを見せている。
放送にあわせて、これまでのコミックスを再読し、あらためてその世界観を見直している人も多いと思うが、実は『進撃の巨人』は本編とは別に描かれたサイドストーリーにも、過去や背景を知ることのできる非常に重要なストーリー上の手がかりが描写されていることはご存知だろうか。
今回は、そんな『進撃の巨人』のサイドストーリーの中で明かされた意外な真実を3つご紹介したい。
■アニを突き動かしているもの、背負っている十字架とは?
『別冊少年マガジン』2015年9月号にて連載がスタートした、いわゆる「アニ外伝」「ミカサ外伝」と言われるスピンオフ作品『進撃の巨人 LOST GIRLS』(全2巻)は、もともとはテレビアニメのBlu-ray&DVDの初回特典として付属したビジュアルノベルのシナリオを小説化したものを、あらためてコミカライズした作品だ。
原作ではどこか掴みどころがなく、一見クールで感情のない女性に見えるが、このサイドストーリーはアニの視点で描かれているため、彼女の苦悩や戸惑いがリアルに感じられるのだ。
物語の舞台はアニが初めて巨人化した日の前日の出来事だ。とある一家とそれを取り巻く闇の薬、関わりがあるとされる娘を追跡していく中で、アニは自身の過去と否応なく向き合うことになる。父親に「絶対服従」であり、「使命を果たせ 使命を果たすことが お前がこの世に生を享けた意味だ」という十字架を背負わされていたことを回想するアニ。
本編でも父親から挌闘を叩き込まれる描写はあったが、ここまでの精神的な負荷をかけられていたのかと、原作でのアニの芯の強さや表情などを思い出し、胸が締め付けられそうになる。淡々としているように見えたアニも、本当は無慈悲に人が殺されていく毎日に戸惑い、後悔し続けていたのだから……。
そんな心理描写から垣間見えるアニの本当の気持ちに触れながら、同時に彼女の代名詞とも言える強烈なキックが随所に見られるのもこのストーリーの最高にクールな部分だ。あらためてアニの戦闘能力の高さも感じることができるという点でも必読のサイドストーリーだと言えるだろう。