■ザクでも強い「サイコミュ高機動試験用ザク」

 白いけれど“ザク”な「サイコミュ高機動試験用ザク」はどうだろう。「タコザク」としてプロモデラーに人気の高いこのザクは、もともとは番外企画「MSV」で生まれた機体。高い推進力を実現するために脚部を丸ごと大型ブースターに換装されており、その「足のないMS」という発想が後の「ジオング」に繋がったとされている。

 武装は「有線式5連装メガ粒子砲」のみ。そのため武装面では貧弱な感があるが、試験機としては、必要な装備のみというのは正しい運用方法に思える。そして唯一の武器である「有線式5連装メガ粒子砲」が、実はかなり強力なのだ。

 一年戦争終盤の時点では、サイコミュを利用したオールレンジ攻撃可能な武器は希少。それが5連装で、出力の高いメガ粒子砲なのである。さらに、サイコミュ兵器を取り扱う都合上、パイロットはニュータイプか、それに近しい人物であることがほぼ確実なので、「強い」以外のイメージが沸かないだろう。

『機動戦士ガンダム』作中での活躍は見られないが、アニメ『機動戦士ガンダム サンダーボルト』ではア・バオア・クー防衛戦に参加して、次々と連邦機体を撃墜して回る「サイコミュ高機動試験用ザク」の姿が確認できる。特徴的なシルエットもさることながら、やはりこの「白い」ザクも「強い」機体と考えて差し支え無さそうだ。

■強いけど殺人的なGがパイロットを襲う「トールギス」

 宇宙世紀以外の世界設定で描かれる“アナザーガンダム”でも「白い」名機体がある。『新機動戦記ガンダムW』に登場した「トールギス」は、幾度となく「ウイングガンダム」や他のガンダムと戦いを繰り広げた白を基調としたデザインが採用された機体だ。

『新機動戦記ガンダムW』におけるガンダムシリーズは、他の機体と一線を画す圧倒的な性能を有している。特に序盤はその傾向が顕著に表れているが、トールギスはそのガンダムシリーズたちと互角に戦う。

 また、続編となるOVA『新機動戦記ガンダムW EndlessWaltz』でも後継機である「トールギスIII」が登場。これも白を基調としたデザインで、やはりヒイロたちのガンダム5機と互角の性能を持つように描写されている。

 しかしながらトールギスは、最新鋭の技術を用いてその時点での最高性能を可能にした機体。一方で搭乗者にかかる負荷についてはまったく考えられておらず、そのすさまじい加速によって生まれる殺人的なGにより、並のパイロットでは耐えられずに死亡してしまう。搭乗できるパイロットを選ぶという弱点はあるものの、やはり「強い」モビルスーツであることは間違い無いだろう。

 他にも『機動新世紀ガンダムX』に登場する「ベルディゴ」が思い浮かぶが、こちらもニュータイプ専用機だ。白い機体は「強い」が、そこには乗り手を選ぶ機体が多いというジンクスがありそうだ。

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