(2ページ目) 『SLAM DUNK』でメインキャラを陰で支えた“渋すぎる名脇役”3選チエコスポーツのヒゲ店長に青田、鉄男も…

■親友の応援に駆けつけた“ジュードー男”「青田龍彦」

　続いては、湘北バスケ部主将・赤木と幼馴染の「青田龍彦」だ。

　湘北高校柔道部の主将で、柔道２段の実力者の青田。桜木の身体能力に惚れ、柔道部に勧誘しようとたびたび登場しているキャラである。赤木とは小さいころからそれぞれ全国制覇を目標に競い合ってきたライバルであり、親友でもあるという間柄だ。

　そんな青田は、なんだかんだ理由をつけて桜木を柔道部に勧誘するも毎度振られてしまう……という、いわゆるギャグキャラのような扱いなのだが、作中ではここぞというときに登場し、読者にインパクトを与えた。

　それはインターハイ出場をかけた県予選最終リーグの湘北対陵南戦。赤木の怪我の影響、監督・安西先生の不在、そして三井寿が疲労困憊で倒れ、陵南にあと１点差まで詰め寄られるという最悪な状況の中でのことだ。

「なにをやっとるか赤木ーーっ!!」「こんなとこでモタついてて全国制覇ができると思うか」と、試合会場に響き渡る青田の声。バスケ部と同様に県予選を戦っていた青田が、一足先に手にした優勝旗を持って駆けつけたのだ。

　苦しい戦況だったが青田に檄を飛ばされ、ここであらためて“全国”を意識したであろう赤木。その後、湘北は怒涛の粘りを見せ、見事インターハイ出場の切符を手にするのであった。

　自身もしっかり全国大会出場という結果を残し、さらに親友の窮地に駆けつけて最大限のエールを送った青田。普段のギャグぶりはどこへやら、赤木を最後まで見守った彼はまさに本作に欠かせない名脇役だろう。

　最後に紹介するのは「鉄男」だ。

　鉄男はタンクトップに無造作なロングヘア、無精髭を生やした「ケンカのプロ」と呼ばれる不良だ。三井が湘北バスケ部を襲撃した際に不良仲間として登場し、流川楓や宮城リョータを打ちのめし、結果的には負けてしまうが桜木ですら苦戦を強いられるほどの強さであった。

　三井がバスケがしたいと不良グループを抜けたあと、鉄男はバスケットボールとは無関係のキャラだったため登場はほとんどないものの、インターハイ予選の翔陽戦を前に古傷である膝を検査した病院帰りの三井と遭遇するシーンが描かれた。

　不良を辞め短髪になった三井に対し「そっちの方が似合ってるよおめーには」と送り出すような発言をしたあと、心身ともにスポーツマンとなった三井に「じゃなスポーツマン」とカッコ良く立ち去った。以降、鉄男の登場はなかった。

　作中では鉄男と三井の関係性は語られなかったが、三井がスポーツをやっていたこと、そして恐らく選手として才能があったことを知っていたのではないだろうか。まるで映画『グッド・ウィル・ハンティング旅立ち』で、チャッキーがウィルの才能を埋もれさせないように進言する、そんな２人のような関係性に感じられる。

「バスケがしたい」と不良グループを抜けた三井に対して、文句も言わずその気持ちを尊重し素直に応援する鉄男。その２人の友情にグッとくるものがある。

　作中では再び登場することはなかったが、小説版やアニメ版では再登場を果たしているので気になる方はチェックしてみるといいだろう。

　紹介した３名のほかにも、桜木軍団・水戸洋平や陵南高校の相田彦一など、『ＳＬＡＭＤＵＮＫ』には魅力あふれる脇役が揃っている。そんな名脇役たちにも注目しながら今一度再読してみると、本作を何度でも楽しめるだろう。