■シンプルなデザインのなかにも着実な進化が…『ケロロ軍曹』
1999年より『月刊少年エース』(角川書店、現・KADOKAWA)にて連載されている『ケロロ軍曹』は、地球を侵略しに来たカエルに似た異星人・ケロロたちと、地球人である日向家との交流をベースに描かれたギャグ漫画である。
いろいろなアニメや漫画、ゲームをモチーフにした“パロディ”が登場するのが特徴で、他作品を知っているほどに楽しめるギャグと、その合間に展開される“家族”をテーマとした心温まるストーリーから多くのファンを獲得している作品だ。
そんな本作の単行本だが、もともとはカラフルな背景にCGでデザインされたキャラクターが描かれていたのだが、連載10周年を記念して単行本デザインの大幅な刷新が行われた。
新たな表紙は白を基調とし、作者である吉崎観音氏が新たにキャラクターイラストを書き下ろしている。カバー全体に背景色が使われていた過去の表紙に比べ、どこか全体的にシンプルにまとまったデザインへと刷新された。なお、18巻以降はこちらのデザインに差し替えられているため、新旧のデザインが存在するのは17巻までとなる。
ケロロをはじめとしたケロン人は皆、2頭身のシンプルなデザインをしているものの、そのなかにも細かなディティールの変化が見られるのが、非常に興味深い。長年の連載の中で作者が手に入れた独自の“黄金比”が新たなイラストのなかにしっかりと活かされており、なんとも味わい深いデザインとなっている。
このイラスト変更に合わせ、キャラクターが持っているアイテムやちょっとしたマークなどにも変化が加えられており、過去の表紙と現在のデザインの変化を見比べてみるのも一興だ。
10年という連載期間の着実な重みを感じることができる、実に感慨深いリニューアルデザインである。
イメージチェンジのため、周年イベントのためと、単行本のデザイン変更に伴う理由はさまざまだ。いずれも長く続く人気作だからこそ、リニューアルされたデザインにはそれぞれの作品の個性が色濃く反映され、追いかけ続けているファンたちを楽しませてくれる。