■母親の愛情を弄んだトラウマ級の「あたしィィィの赤ちゃあァァァん!」

 最後はトラウマ級に怖かったシーンから、ディオの冷酷さを見ていこう。

 吸血鬼となったディオは人間の血が必要となってしまう。夜にしか行動できないので、人間をさらってはその生き血を吸い続けてきた。

 ある女性が赤ちゃんを抱えたままディオのもとへ連れてこられ、なんとかこの子だけは助けてほしいと懇願する。母親として当然の気持ちだろう。自分は絶望しかないが、なんとか我が子だけは助かってほしいと……。

 ここで、ディオは意外にも「OK」と快く了承している。もちろん、母親はディオによって血を吸われてしまうのだが、その後、母親はまさかの吸血鬼化! そしてなんと泣き叫ぶ我が子を前に「あたしィィィの赤ちゃあァァァん!」と我を失って襲ってしまうのだ!

 ええ~!それはないだろうディオ……。「私は手を出さない」と言っていたが、こうなることが分かっていたのだろう。人間の良心など欠片も残っていないことが分かる。うう……このシーンは未だに鮮明に記憶に残っているな。泣いている我が子の両手と目を見開いて皮を引っ張る母親と「ビーン」という擬音がなんとも苦しかった。

 

 さて、ここまで説明してきただけでもディオは最低最悪の悪役だったのだが、まだまだディオの悪行は存在している。ディオは人の命をパンの枚数と同等に捉えており、またそれをサラッと言うので困ったヤツだった。

 とはいえ、この圧倒的な“悪”がいたからこそ、『ジョジョ』の物語は大きく展開していくのだが……。

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